研究課題/領域番号 |
24592562
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
比野平 恭之 昭和大学, 医学部, 准教授 (00238320)
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キーワード | 中耳真珠腫 / マイクロバイオーム / 組織学的検討 |
研究概要 |
近年、米国を中心として消化管や生殖器、皮膚組織などのマイクロバイオーム(microbiome、宿主に生存する微生物コミュニティの構成ゲノムの総称)を検討し、疾患の発生や予防機序に応用する試みが行われており、特に肥満や糖尿病などの代謝疾患で研究が進んでいる。中耳は気道粘膜の延長であり、中耳粘膜には種々の細菌が棲み中耳炎の発症や遷延化に深く関わっていると考えられる。ところが実際に培養できる微生物は10%以下であり、培養できない細菌が中耳炎の遷延化、中耳真珠腫の発症に影響を与えている可能性は大きい。しかしこれまでのところ中耳粘膜におけるmicrobiomeの検討は行われていない。 本研究では手術時に得られた組織標本から中耳粘膜のmicrobiomeを真珠腫例、非真珠腫例との間で比較検討し、真珠腫に特異的なmicrobiomeを明らかにすることを目的とする。 今年度は真珠腫10例、非真珠腫4例にから組織標本を採取した。真珠腫例では真珠腫上皮と表皮剝屑物、非真珠腫例では中耳粘膜および肉芽組織が検体となった。採取された組織表面の細胞を分離してDNAを精製し、PCR法を用いて細菌に特異的なPCR産物を得て、PCR産物をシーケンサーで解析して遺伝子の配列を決定し、データベースを用いて、真珠腫、非真珠腫例それぞれにおける細菌腫の同定を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回の検討では、申請者らが行う手術時に得られた組織標本から中耳粘膜のmicrobiomeを真珠腫例、非真珠腫例との間で比較検討することとした。 真珠腫10例、非真珠腫4例にから組織標本を採取し、PCR法を用いて細菌特異的16s rRNAの増幅を行い、シーケンサーで解析して遺伝子の配列を決定し、データベースを用いて真珠腫、非真珠腫例それぞれにおける細菌種の同定を行っている。しかし検体によるデータのばらつきがまだ大きく、真珠腫例における特異的なパターンが検出されていない。
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今後の研究の推進方策 |
真珠腫手術例における検体組織摘出法の工夫が必要と考える。近年の光学医療機器の進歩により真珠腫の早期発見例が多く、大量の真珠腫塊が得られにくいという実情がある。このため1検体からではなく、複数検体を合わせて解析することなどが必要と考えている。最終年度ではある程度の成果が得られると思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
組織検体のサンプル数が少なく、PCR解析にかかる費用が見積もりより少なかったため。 26年度には組織検体のサンプル数の増加が見込まれるため、予算計画通りの執行が可能と考える。
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