近年、米国を中心として消化管や生殖器、皮膚組織などのmicrobiomeを検討し、疾患の発生や予防機序に応用する試みが行われている。中耳は気道粘膜の延長であり、中耳粘膜においても種々の細菌が棲み中耳炎の発症や遷延化に深く関わっていると考えられる。そこで手術時に得られた組織標本から中耳粘膜のmicrobiomeを真珠腫例、非真珠腫例との間で比較検討した。中耳真珠種と非真珠腫性中耳炎の患者の真珠種や中耳粘膜細菌コミュニティを比較した場合、両群で菌種の数に有意な差は認められなかったが、真珠種群において嫌気性菌が真珠種の形成に関わっているのではないかと推測された。
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