中耳真珠腫や癒着性中耳炎術後の露出した骨面上に早期に粘膜が再生されれば、術後鼓膜の再癒着や再形成性真珠腫の予防が可能と考えられる。温度応答性培養皿を用いて自己の鼻腔粘膜上皮細胞シートを作製し、外耳道後壁保存型鼓室形成術の際に、中耳の粘膜欠損部へ移植し術後の粘膜を再生させる新たな術式を開発し、厚生労働省からの承認を取得後、ヒト臨床研究を開始した。これまでに弛緩部型中耳真珠腫2例、緊張部型中耳真珠腫2例の患者に対して、自己鼻腔粘膜上皮細胞シート移植を併用した外耳道後壁保存型鼓室形成術を施行した。すべての症例で鼓膜の再癒着や真珠腫の再発は認めておらず、有害事象や合併症も認めていない。
|