研究課題/領域番号 |
24592566
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
肥塚 泉 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (10211228)
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研究分担者 |
三上 公志 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (20434409)
宮本 康裕 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70367340)
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キーワード | 前庭―眼反射 / 可塑性 / 視覚―前庭矛盾刺激 / 耳石器―眼反射 / 偏垂直軸回転刺激 |
研究概要 |
逆転プリズムやレンズを用いて視覚入力を変化させた状態である一定時間、前庭刺激を加える(視覚―前庭矛盾刺激)と、半規管―眼反射(semicircular-ocular reflex: ScOR)の利得および位相が変化することが知られている。この現象はScORの適応現象と呼ばれている。前庭―眼反射(vestibulo-ocular reflex: VOR)のもうひとつの要素である耳石器―眼反射(otolith ocular reflex: OOR)の適応現象に関する報告は、直線加速度装置を用いたもののみである(Koizuka I, et al, Auris Nasus Larynx: 89-93, 2000, Koizuka I, Auris Nasus Larynx. Suppl: S3-6, 2003)。今回は、視覚―前庭矛盾刺激がOORに及ぼす影響について垂直軸回転刺激(earth vertical axis rotation: EVAR)と偏垂直軸回転刺激(off-vertical axis rotation: OVAR)を用いて検討した。逆方向刺激(利得が増大する刺激)では、0.16 Hz時はEVAR、OVAR共、刺激前後で利得の変化を認めなかった。0.32 HzではEVAR、OVAR共、刺激前後が増大する傾向を示した。利得の増大傾向は、EVARよりもOVARで顕著であった。同方向刺激(利得が低下する刺激)では、0.16 HzのEVAR、OVAR、0.32 HzのEVAR、OVARいずれにおいても刺激前後で利得が減少する傾向を示した。逆方向刺激において利得の増大傾向は、EVARよりもOVARで顕著であった。OVARの利得はScORの利得とOOR利得との和である。以上より、視覚―前庭矛盾刺激によるVORの可塑性はScORのみではなくOORにも生じる可能性をOVARでも確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回購入した視覚―前庭矛盾刺激に用いる視運動刺激装置と回転いすとの動作には全く問題を認めなかった。しかしながら、眼球運動の検出・記録に用いる赤外線ビデオ装置のゴーグル部分に不具合(検査中、赤い点が被験者に見える)というトラブル、眼球運動の解析ソフトに不具合が生じ、実験を途中で中断せざるを得なかった(被験者数が現状では予定数に達していない)。メーカーに対応を求めているが、進展がなかなか認められないというのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
赤外線ビデオ装置のゴーグル部分に不具合、眼球運動の解析ソフトの不具合を早急に改善し、当初の予定数になるよう、本研究を推進したい。またできれば次に行うことを予定している、視覚―前庭矛盾刺激と体性感覚刺激を同時に加えた場合の、半規管-眼反射と耳石器-眼反射の可塑性について、検討を加えたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
眼球運動の解析ソフトに不具合が生じ、実験を途中で中断せざるを得なかったため被験者数が現状では予定数に達していないかったため予定していた謝礼金支払が遅くなったため。 眼球運動の解析ソフトの不具合を早急に改善し本研究を推進する。次に行うことを予定している、視覚―前庭矛盾刺激と体性感覚刺激を同時に加えた場合の、半規管-眼反射と耳石器-眼反射の可塑性について、検討を加えたいと考えている。
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