研究課題/領域番号 |
24592566
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
肥塚 泉 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (10211228)
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研究分担者 |
三上 公志 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (20434409)
宮本 康裕 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70367340)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 半規管-眼反射 / 耳石器-眼反射 / 可塑性 / 視覚刺激 / 利得制御機構 / tilt suppression |
研究実績の概要 |
平成24年度の基盤研究(C)(一般)では、耳石器-眼反射の可塑性に、視覚入力が及ぼす影響について検討を加えた。 椅子を30度傾斜させた後(偏垂直軸回転)、黒白のストライプ刺激を被験者前方に投射したものを用いた(optokinetic stimulation)。回転方向と反対方向(x2)ならびに同方向(x0)に、視運動刺激を回転刺激と同速度で動かしながら20分間連続して振子様刺激を加えた。その後、暗所開眼下、垂直軸回転刺激、偏垂直軸回転刺激を用いて、半規管―眼反射と耳石器-眼反射の利得を測定した。回転いすおよび視覚刺激には、振子様刺激(周波数:0.2Hz、0.4Hz、0.8Hz、最大角速度60度/秒)を用いた。 椅子を傾斜しない状態(垂直軸回転刺激)で上記のような刺激(visuo-vestibular conflict stimulation)を加えると、視覚入力の条件に応じて半規管-眼反射の利得や位相に、可塑的な変化(plasticity)が生じることが知られている。ところが、今回のように椅子を傾斜した状態で同様の刺激を加えると、半規管-眼反射、耳石器-眼反射の両者に可塑的な変化が生じないという結果が得られた。 回転後眼振が生じている最中に頭部傾斜をくわえると、眼振強度が変化することが知られている(tilt suppression)。これは耳石器に加わる重力軸(gravito-inertial axis)が変化することによって、半規管-眼反射によって生じた眼球運動が変調を受けた結果と考えられている。今回、視覚刺激により半規管-眼反射、耳石器-眼反射の両者とも可塑的な変化を認めなかった。椅子を傾斜することにより重力軸方向は変化し、これにより、半規管-眼反射ならびに耳石器-眼反射の利得制御機構(gain element)にも変調が加わった結果と考えられた。
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