研究課題/領域番号 |
24592569
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
萩森 伸一 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90291799)
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研究分担者 |
森 京子(高巻京子) 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40368105) [辞退]
櫟原 崇宏 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20624240)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 顔面神経麻痺 / 水痘・帯状疱疹ウイルス / ウイルス特異的細胞性免疫能 |
研究実績の概要 |
本研究の主たる目的は、顔面神経麻痺患者のヘルペス属ウイルス(単純ヘルペスウイルス(以下HSV)および水痘・帯状疱疹ウイルス(以下VZV)の関与を検証すると同時に、宿主のウイルス特異的免疫能、特にVZVについては液性免疫、細胞性免疫両者から検討・評価することで、顔面神経におけるウイルス再活性化、顔面神経麻痺の発症メカニズムを解明することである。平成26年度の研究では、当大学病院を受診した顔面神経麻痺患者20名のVZV関連顔面神経麻痺(Hunt症候群およびzoster sine herpete)と57名のVZV非関連顔面神経麻痺(Bell麻痺)を対象に、VZV特異的細胞性免疫能をELISPOT法で評価した。その結果、VZV関連顔面神経麻痺患者においては発症30日以内でELISPOT数は中央値87.3 SFCs、VZV非関連顔面神経麻痺では62.3 SFCsと、VZV関連顔面神経麻痺が有意に上昇していた(P=0.04)。また発症15日以内では、VZV関連顔面神経麻痺では発症からの日数とELISPOT数とに強い正の相関がみられ(r=0.65)、特に発症5日以内では80 SFCsを越える高いSPOT数の患者はいなかった。一方、VZV非関連顔面神経麻痺では、両者に関連はみられなかった(r=-0.19)。このことから、VZV関連顔面神経麻痺患者においては、発症初期にVZV特異的細胞性免疫能が低下していることが明らかになり、この低下がHunt症候群やzoster sine herpeteの発症に関与する可能性が示唆された。これらの成果をを2014 American Academy of Otolaryngology-Head & Neck Surgery Annual Meetingや第115回日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会、第6回近畿ヘルペス感染症研究会などで発表するとともに、英文論文にまとめ投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たる目的は、顔面神経麻痺患者のヘルペス属ウイルス(HSVおよびVZV)の関与を検証すると同時に、宿主のウイルス特異的免疫能、特にVZVについては液性免疫、細胞性免疫両者から検討・評価することで、顔面神経におけるウイルス再活性化、顔面神経麻痺の発症メカニズムを解明することである。研究結果からVZV関連顔面神経麻痺患者においては、発症初期にVZV特異的細胞性免疫能が低下していることが明らかになり、この低下がHunt症候群やzoster sine herpeteの発症に関与する可能性が示唆された。現在、欧文誌投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
投稿中の論文のacceptを目指す。また、昨年10月からわが国において、水痘ワクチンの定期接種(公費接種)が小児に対して開始されたことから、今後VZV関連顔面神経麻痺の発症率や重症度が大きく変化することが予想される。これらの疫学調査を開始したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験器具およびそれにかかる経費が、既存のものを使用することで抑制されたから。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、研究成果をまとめ欧文誌投稿中であり、その校正および出版費用として充当する予定である。
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