研究課題/領域番号 |
24592575
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐々木 絢子(稲嶺絢子) 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70466720)
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研究分担者 |
徳久 剛史 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20134364)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アレルギー・ぜんそく / 免疫学 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 遺伝子 |
研究概要 |
アレルゲン感作後の抗原特異的IgE陽性細胞の分化経路や感作発症後の長期に及ぶ抗原特異的IgE抗体価の維持機構についての詳細は明らかになっていない。 高親和性のLL-Plasma細胞は脾臓やリンパ節内の胚中心を経由して分化すると考えられている。また、胚中心に局在するTfh細胞から大量に産生されるIL-21が、胚中心B細胞のLL-Plasma細胞への分化に重要な役割を果たしている可能性があると考え、IL-21におけるLL-Plasma細胞分化への関与について着目し、詳細に解析を行ってきた。 今年度はLL-Plasma細胞の分化に必須な因子を探索する事を目標とし、In vitroにおいてIL-21を用いたLL-Plasma細胞への分化誘導系を確立した。正常マウス脾臓由来の成熟B細胞を抗IgM抗体と抗CD40抗体とIL-4で刺激後、二日目にIL-21もしくはIL-4で再刺激を行った。その後、分化誘導されたCD138陽性Plasma細胞をCFSEでラベルした後、正常マウスに移入して6週間後の骨髄におけるCFSE 陽性のLL-Plasma細胞の存在をFACSやELISPOT法により解析した。その結果、in vitroにおいてIL-4と抗CD40抗体等を用いて3日間活性化させた脾臓B細胞をさらにIL-21のみで刺激して3日後に正常マウスに移植すると、IgG1型 LL-Plasma細胞への分化が誘導できるが、IL-21R-KOマウス由来の脾臓B細胞では誘導できなかった。IL-21R-KOマウス脾臓由来のPlasma細胞と正常マウス由来のLL-Plasma細胞からのRNAとをマイクロ・アレイ法で比較することによりIL-21の刺激によりLL-Plasma細胞に誘導される遺伝子群を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標はLL-Plasma細胞の分化誘導因子の探索であった為、確立したIn vitroにおいてIL-21を用いたLL-Plasma細胞への分化誘導系により単離したIL-21R-KOマウス脾臓由来のPlasma細胞と正常マウス由来のLL-Plasma細胞からのRNAを用いてマイクロ・アレイ法で群間で変動した因子を比較することで、IL-21の刺激によりLL-Plasma細胞に誘導される遺伝子群を同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
IL-21刺激を用いた培養系におけるIgG抗体産生LL-Plasma細胞の分化に関する研究成果を踏まえて、(1)IgE抗体産生LL-Plasma細胞の分化に必須な因子の探索、(2)アレルギー性鼻炎モデルマウスを用いたIgE抗体産生LL-Plasma細胞の分化抑制阻害剤の探索とその抑制効果検討、を行い、LL-Plasma細胞の必須因子を明らかにする。さらに、上記の成果を基に花粉症患者に対する予防治療を目的として、臨床応用に向けた特異的なIgE抗体産生LL-Plasma細胞の分化抑制薬の開発を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
LL-Plasma細胞に特異的に発現する遺伝子に関して、In vitro系で確立したPlasma細胞にレトロウイルスベクターを用いて遺伝子導入して、IL-21R-KOマウス脾臓由来のPlasma細胞に強発現させるもしくは正常マウス脾臓由来のPlasma細胞にsiRNA法を用いてノックダウンさせて、正常マウスに移入し、LL-Plasma細胞になりうるかどうかについて検討する。また、LL-Plasma細胞の分化に影響を与える候補遺伝子に対して、その発現機構について詳細に解析するとともに、ノックアウトマウスを作製して機能解析を行う。また本年度においてノックアウトマウスの作製にあたり準備を進めていたが、計画していたマウスの譲渡などが遅れた為に未使用額が発生した。 次に、IgE抗体産生Plasma細胞の分化経路と存在する場を明らかにし、抑制剤の開発応用を目指してIn vitro系を用いてヒトPBMCからLL-Plasma細胞を分化誘導する系を確立する。また、スギ花粉症患者由来のヒトPBMCからアレルゲン特異的なIgE産生細胞誘導系の確立する。
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