研究課題/領域番号 |
24592579
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
春名 真一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60198934)
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研究分担者 |
深美 悟 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (00311944)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 嗅覚障害 / ボーマン腺 / 好酸球 / NO / 複合糖質 / 内視鏡手術 / 嗅粘膜 / 好酸球性副鼻腔炎 |
研究概要 |
1)嗅覚障害を呈する好酸球性副鼻腔炎(ECRS)例22例と非好酸球性副鼻腔炎 (noECRS)16例を対象とした。両群の呼吸粘膜の好酸球数は、血中および組織中に有意に前者で多かった。しかし、嗅粘膜では前者に好酸球数が多い傾向にあったが、両群の間に有意差は認められなかった。呼吸粘膜の上皮細胞障害、杯細胞と基底膜肥厚はECRSで著明だが、嗅粘膜の上皮細胞障害、基底膜肥厚では両群の差は認められなかった。noECRSに比べてECRS粘膜下の粘液腺のボーマン腺の拡大および増勢が観察され、粘液分泌亢進が示唆された。ECRSではレクチン免疫染色にConA、SNAの発現を認め、粘液の変化が観察された。 2)両群の嗅粘膜では、iNOS抗体では嗅粘膜線毛、ボーマン腺に強陽性像が観察された。また、嗅覚障害を伴い、手術後に嗅覚の改善例で、術前と比較すると、iNOSで線毛周囲の減弱が観察された。 3) 術前の両群のoralFeNOとnasalFeNOはともにECRSで有意に高値を示した。ECRSでは呼吸粘膜中の好酸球数と術前oralFeNOは相関したが、nasalFeNOとは関連は認めなかった。嗅粘膜好酸球数と術前oralFeNOとnasalFeNOには関連はなかった。術後、嗅覚障害改善時にECRSのoralFeNOとnasalFeNOは術前に比べ有意に低値が認められた。術前にECRS上の嗅粘膜でのNO高値による嗅覚障害の可能性が想定された。逆に、noECRSでは術後にnasalFeNOの上昇を示したが、術後に開大された副鼻腔からのNOの流出により上昇し、嗅粘膜障害の評価として呼気NO測定は適切でないと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
嗅粘膜採取は極微量しか採取できず、かつ適切な組織像を有した嗅粘膜を採取するのが難しいため
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今後の研究の推進方策 |
引き続き慢性副鼻腔炎等にて嗅覚障害を訴える人嗅粘膜とマウス喘息レモデリングモデルを作製し、組織学的に嗅粘膜分泌の状態を検討する。さらに正常および嗅粘膜障害時の嗅粘膜上皮を細胞培養の確立を目指し、単離末梢好酸球を添付し糖蛋白分布とNO合成能を把握し、ステロイド投与による嗅粘膜の修復能力を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1) 気道リモデリングを呈した人呼吸粘膜と嗅粘膜における好酸球浸潤による両者の組織学的差異を追加検討する。 2) 嗅粘膜を細胞培養し、正常嗅粘膜細胞の増殖および分化能と比較する。そのために、なるべく生体内に近づける目的で、嗅粘膜上皮と繊維芽細胞や脳アストログリアの再構成による嗅粘膜の三次元培養を試みる。
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