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2013 年度 実施状況報告書

ヒト鼻粘膜上皮バリア機能の分子的基盤

研究課題

研究課題/領域番号 24592580
研究機関順天堂大学

研究代表者

三輪 正人  順天堂大学, 医学部, 准教授 (80247650)

研究分担者 神谷 和作  順天堂大学, 医学部, 講師 (10374159)
池田 勝久  順天堂大学, 医学部, 教授 (70159614)
キーワード鼻粘膜上皮バリア機能 / フィラグリン / TSLP / LPS / PolyI: C
研究概要

代表的なバリア機能関連タンパクであるフィラグリンの発現を証明するため、ヒト鼻粘膜初代培養細胞を用い、種々条件下でのフィラグリン、代表的な上皮系サイトカインであるThymic stromal lymphopoietin (TSLP)、代表的な炎症性サイトカインであるinterleukin (IL)8などの発現を、real-time PCRおよびELISAを用いて検討した。
昨年度までの我々の実験結果では、フィラグリンは、表皮および口腔粘膜上皮と同じく、ヒト鼻粘膜上皮細胞に存在することを、免疫組織学的に証明している。過去に報告されていないこととして、多列繊毛円柱上皮である下鼻甲介後端部分や上顎洞粘膜にも存在することが示された。また、気管支粘膜上皮は既報と同じく、存在が示されなかった。
今年度は初代培養をコラーゲンコートしたメンブランフィルター上でおこない、細菌感染のモデルとしてlipopolysaccharide (LPS), ウイルス感染のモデルとしてPoly I:Cをそれぞれ刺激した後の、フィラグリン、TSLP、IL8について、mRNAおよびタンパク量を経時的に測定した。LPSおよびPolyI: Cでは、mRNAおよびタンパク量とも、用量依存的にフィラグリン、TSLPは減少、IL8は増加する傾向を認めた。
あわせて、電気的バリア機能の指標である経上皮膜抵抗(TER)を測定したが、TERの低下で示される電気的バリア機能のdown regulationとフィラグリンのmRNAおよびタンパク量の推移と相関している傾向が確認され、現在詳細に検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

バリア機能保持に密接に関連していることが有力視されているフィラグリンのヒト鼻粘膜上皮における局在を形態学的に証明した後、日本における代表的なアレルギー性鼻炎であるスギ花粉症患者に対する初期療法(季節前投与、3次早期介入)前後でのフィラグリンの推移を擦過鼻粘膜上皮細胞を用い、分子生物学的に、また各種サイトカインの動態を、鼻呼気凝集液を用いた解析で検討している。
それに加えて、ヒト鼻粘膜初代培養細胞を用い、各種刺激におけるフィラグリン、サイトカインの動態をin vitroで検討し上記結果を得ている。
フィラグリンの発現が上皮膜抵抗と相関し、鼻粘膜上皮バリア機能維持に役立っていることがより直接的に証明された。

今後の研究の推進方策

ヒト初代培養鼻粘膜上皮細胞を用い、LPSやPolyI:C刺激後のフィラグリンの発現低下をどのように防ぐことができるかを、まず電荷性をもった各種ポリカチオン、ポリアニオンで検討する。そのことにより、アレルギーマーチの進行を防ぎ、いまだ特異的IgEが産生されていない個体での早期介入(一次介入)の道が開拓できると考えられる。

次年度の研究費の使用計画

予定していた海外出張が諸般の事情により不可能となったため。
次年度に同出張を遂行予定です。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The usefulness of nasal exhaled breath condensate in patients with Japanese cedar pollinosis.2014

    • 著者名/発表者名
      Miwa M, Ono N, Hirotsu M, Shiozawa A, Hanao M, Hirose T, Miwa M and Ikeda K
    • 雑誌名

      Proc Airway Sec Res

      巻: 16 ページ: 27-29

  • [雑誌論文] Fungal extracts detected in eosinophilic chronic rhinosinusitis induced cytokines from the nasal polyp cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Hirotsu M, Shiozawa A, Ono N, Miwa M, Kikuchi K, Ikeda K.
    • 雑誌名

      Laryngoscope.

      巻: 24 ページ: 10.1002

    • DOI

      24615892

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reduction in superoxide dismutase expression in the epithelial mucosa of eosinophilic chronic rhinosinusitis with nasal polyps.2013

    • 著者名/発表者名
      Ono N, Kusunoki T, Miwa M, Hirotsu M, Shiozawa A, Ikeda K
    • 雑誌名

      Int Arch Allergy Immunol

      巻: 2 ページ: 173-80

    • DOI

      10.1159/000353122.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 【スギ花粉症の発症と初期治療】 スギ花粉症患者に対する初期治療前後の生理学的評価(原著論文/特集)2013

    • 著者名/発表者名
      塩沢 晃人, 三輪 正人, 池田 勝久
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 6号 ページ: 633-636

    • 査読あり
  • [学会発表] 小児アレルギー性鼻炎診療の新しい視点2014

    • 著者名/発表者名
      三輪正人
    • 学会等名
      宮城県小児科医会学術講演会
    • 発表場所
      宮城県仙台市
    • 年月日
      20140327-20140327
  • [学会発表] バリア機能からみた花粉症治療 -Tough noseをいかにつくるか-2014

    • 著者名/発表者名
      三輪正人
    • 学会等名
      第120回札幌市耳鼻咽喉科医会学術研修会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20140308-20140308
  • [学会発表] 眼から鱗の鼻の科学2014

    • 著者名/発表者名
      三輪正人
    • 学会等名
      第2回花粉症勉強会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20140221-20140221
  • [学会発表] バリア機能からみた花粉症治療 -鼻粘膜の生理学的変化に迫る-2014

    • 著者名/発表者名
      三輪正人
    • 学会等名
      第33回花粉アレルギー研究会
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      20140220-20140220
  • [学会発表] Point of Care Researchからみた耳鼻咽喉科外来診療2013

    • 著者名/発表者名
      三輪正人
    • 学会等名
      東京都耳鼻咽喉科医会学術講演会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20131214-20131214
    • 招待講演
  • [学会発表] Allergic Rhinitis - From Bench to Clinic Allergic rhinitis as a barrier disorder disease2013

    • 著者名/発表者名
      三輪正人
    • 学会等名
      16th Asian Research Symposium in Rhinology (ARSR)
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130829-20130831
  • [学会発表] 早期介入により鼻粘膜バリア機能関連タンパクの発現は増強するか2013

    • 著者名/発表者名
      三輪正人
    • 学会等名
      耳鼻咽喉科学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20130517-20130518
  • [学会発表] 鼻呼気凝縮液の有用性の検討2013

    • 著者名/発表者名
      三輪正人 小野倫嗣 廣津幹夫 塩沢晃人 花尾麻実 廣瀬 壮 三輪真由美 池田勝久
    • 学会等名
      第32回気道分泌研究会
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      20130427-20130427
  • [図書] 花粉症予防の食事とは?スマート栄養管理術 123 栄養とスポーツの管理が重要であるこれだけの理由2013

    • 著者名/発表者名
      三輪正人、池田勝久、岩岡愛美
    • 総ページ数
      79-82,
    • 出版者
      医歯薬出版

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公開日: 2015-05-28  

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