研究課題/領域番号 |
24592582
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
吉川 衛 東邦大学, 医学部, 准教授 (50277092)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 慢性副鼻腔炎 / エピゲノム制御機構 / 線維芽細胞 / インターフェロン誘導性遺伝子 |
研究概要 |
慢性副鼻腔炎は,粘膿性鼻漏,鼻閉,嗅覚障害,頭重感などの生活に支障をきたす症状が長期にわたって持続し,かつ比較的罹患率の高い疾患である.近年,マクロライド系抗菌薬の少量長期投与などの治療法により治癒率の向上を得たものの,従来の治療法では改善しない予後不良例が徐々に増加してきており問題となっている.本研究課題は,このような治癒寛解が困難な慢性副鼻腔炎を対象とし,局所に存在する線維芽細胞の表現型がウィルス感染などの何らかの環境因子により変化し,その結果炎症細胞が誘導されて浸潤し難治性の慢性炎症を引き起こすという仮説を証明することによって,新規治療薬の開発に貢献することを最終的な目的としている. 手術患者から副鼻腔粘膜と副鼻腔洗浄液を採取し,さらに対照として正常と考えられる副鼻腔粘膜(眼窩吹き抜け骨折整復術や下垂体手術時などに摘出)も同様に採取した.それと同時に,①自記式アンケート調査による自覚症状の評価,②Lund-Mackay scoring systemによる副鼻腔CT所見の評価,③鼻腔ポリープのスコア化,④末梢血好酸球数などの血液検査所見,⑤採取した粘膜における好酸球浸潤の評価を行い臨床情報のデータベースを作成し,術後の経過観察を行った. これらの手術時に採取した副鼻腔粘膜より線維芽細胞を培養し,IFN誘導性遺伝子のプロモーター領域を中心にヒストンの化学修飾の変化の確認を行った.その結果と前述した臨床情報とを統計学的に解析するため,予後不良な難治症例由来の線維芽細胞でIFN誘導性遺伝子のシグナル伝達経路で発現を増強させている因子の同定を,臨床情報の収集と並行して行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度より東京慈恵会医科大学から東邦大学へ所属研究機関を変更したため,それによる倫理委員会の再申請や種々の事務的な処理の問題が生じ、研究体制の再構築が必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に引き続き,手術患者から副鼻腔粘膜と副鼻腔洗浄液を採取し,さらに対照として正常と考えられる副鼻腔粘膜(眼窩吹き抜け骨折整復術や下垂体手術時などに摘出)も同様に採取する.それと同時に,①自記式アンケート調査による自覚症状の評価,②Lund-Mackay scoring systemによる副鼻腔CT所見の評価,③鼻腔ポリープのスコア化,④末梢血好酸球数などの血液検査所見,⑤採取した粘膜における好酸球浸潤の評価を行い臨床情報のデータベースを作成し,術後の経過観察を行う. これらの手術時に採取した副鼻腔粘膜より線維芽細胞を培養し,IFN誘導性遺伝子のプロモーター領域を中心にヒストンの化学修飾の変化の確認を行う.その結果と前述した臨床情報とを統計学的に解析するため,予後不良な難治症例由来の線維芽細胞でIFN誘導性遺伝子のシグナル伝達経路で発現を増強させている因子の同定を,臨床情報の収集と並行して今後も行っていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
所属研究機関の変更により研究の遅れが生じたため,それに伴い次年度に使用する予定の研究費も生じてしまった.平成25年度はその遅れを取り戻すため,当該研究費も含めて使用する計画である.
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