研究課題/領域番号 |
24592588
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
折舘 伸彦 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90312355)
|
研究分担者 |
梨本 正之 新潟薬科大学, 応用生物科学部, 教授 (30228069)
田村 正人 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30236757)
|
キーワード | 頭頸部癌 / TRUE gene silencing / cyclinD1 / small guide RNA |
研究概要 |
TRUE gene silencing法を用いて,頭頸部癌細胞でcyclinD1の発現を抑える最適なsmall guide RNA (sgRNA)を見いだし,これらの癌細胞に対する効果を検討することを目的とした.ヒトcyclinD1のmRNAの二次構造からRNA前駆体様構造をとり得る部位6か所を選定し,各々の部位でHT, H, L型の3種類ずつのsgRNAをデザインした.デザインしたsgRNAはO-methyl化修飾したものを作成し,ヒト口腔扁平上皮癌細胞株であるHSC-2,HSC-3細胞を用い,以下の実験を行った.HSC-2細胞にHT型sgRNAのHT1-6をlipofectamin2000を用いトランスフェクション後,2日後にRNAを抽出し,リアルタイムPCRを用いてcyclin D1 mRNAのレベルを測定した.siRNAには及ばないもののHT1-6はいずれもcyclin D1 mRNAのレベルを低下させた.sgRNAはトランスフェクション試薬を用いなくても細胞内に取り込まれるため,HT1-6をトランスフェクション試薬を用いずに添加した.sgRNAはcyclinD1 mRNAレベルを低下させ、特にHT2とHT5の低下が大きく、cyclinD1のsilencingに効果的なsgRNAと考えられた.cyclinD1 mRNAのsilencingのタイムコースでは,トランスフェクション後24時間で20%程度にまで減少した.この減少はsgRNAの濃度に依存し200 nMで最も低下した。そこで,sgRNA,200 nM,24時間後の条件下でsgRNAのサブタイプHT, H, L型でcyclinD1 mRNAのサイレンシングを比較した.いずれも有意に減少し,sgRNAのsubtypeでの違いを認めなかった。次にタンパクレベルの検討を行い.48時間後のcyclinD1は,sgRNAによって減少することを確認した. cyclinD1はその下流で、CDKと結合しRBをリン酸化させることが知られており,事実HSC3細胞では,cyclinD1が過剰発現しpRBが高いレベルで発現している。sgRNAによって,cyclinD1のタンパクレベルが低下するとともに,pRBのレベルも低下した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TRUE gene silencing法を用いて,頭頸部癌細胞でcyclinD1の発現を抑える最適なsmall guide RNA (sgRNA)を見いだし,これらの癌細胞に対する効果を検討することを目的としており,順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
TRUE gene silencing法を用いて,頭頸部癌細胞でcyclinD1の発現を抑える最適なsmall guide RNA (sgRNA)を見いだし,これらの癌細胞に対する効果を検討することを目的として下記実験を追加する.1) sgRNAによるcyclinD1のサイレンシングによるapoptosisについて活性型のcaspase3/7をイメージングで検討する. 2) HSC-2,HSC-3においてsgRNAによるcyclinD1のサイレンシングによる癌細胞の増殖抑制効果および抗癌剤CDDPとの併用効果を検討する. 3) HSC-3細胞ではcyclinD1が過剰発現しpRBが高いレベルで発現している.sgRNAによってcyclinD1のタンパクレベルが低下するとともに,pRBのレベルも低下ることを示す. 4) sgRNAの癌細胞への取り込みについて,sgRNAを3’末端にAlexa568で標識しimaging撮影を行い検討する.5) sgRNAの細胞内での局在を共焦点による立体画像で検討する.6) cyclinD1をサイレンシングするsgRNAが細胞内に取り込まれた後2時間~24時間後を連続撮影し,アポトーシスを示す細胞の有無を検討する.
|