最終年は、頭頸部腫瘍症例20例を対象に十分な説明後インフォームドコンセントを取得し、手術で摘出した腫瘍標本よりtotal RNAを抽出し、cDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った。具体的には、頭頸部腫瘍摘出術の実施時に摘出した腫瘍組織の一部を速やかにRNA later溶液に入れRNAの安定化を行ったのち、5mm程度よりRNeasy Mini kitを用いてTotal RNAの抽出を行った。得られたRNAのクオリティをAgilent Bioanalyzer 2100を用いて測定した後、Agilent Human gene expression arrayを用いて、cDNAマイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイ解析により得られた各遺伝子の発現データを基にWard法によりクラスタリング解析を行った。その結果、腫瘍の種類毎に特徴的な遺伝子発現パターンを示す事を明らかにした。また、クラスタリングデータを基に、腫瘍の種類を鑑別可能な候補遺伝子を同定した。 さらに、摘出された腫瘍標本に対して通常の穿刺吸引細胞診と同様にFNAを行い、得られた微小サンプルをライセートにし、directにcDNA合成を行うキットを用い逆転写を行うことで、微小検体からのマーカー遺伝子の発現解析をTaqMan法により行った。その結果、微小な検体からでも十分にTaqMan法に依る遺伝子発現解析を行う事が可能で有る事を明らかにした。得られた成果を論文として取りまとめて報告する準備を行っている。
|