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2013 年度 実施状況報告書

軟骨細胞及び軟骨膜細胞を利用した気管軟骨の再生に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24592604
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

野本 幸男  福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70508811)

キーワード気管 / 再生 / 軟骨 / 軟骨膜
研究概要

軟骨細胞、軟骨膜細胞の採取〕軟骨細胞および軟骨膜細胞の採取、培養に関して以下のような変更を加えた。全身麻酔下に日本白色系ウサギのの肋軟骨を摘出する際に、気胸の原因となる壁側胸膜損傷が生じうることから、これを予防するための工夫を行った。肋軟骨を軟骨膜を温存した状態で外側面のみ露出させて、壁側胸膜側の剥離操作は行わないこととした。露出させた範囲で肋軟骨を摘出したが、その際に壁側胸膜側の軟骨および軟骨膜は一部残しながら、軟骨を長軸方向に裂くように切断操作を行った。これにより壁側胸膜への侵襲的な操作を回避することが可能となった。また、軟骨膜細胞を採取する際にこれまでは軟骨膜の組織片培養を行ってきたが、今年度は軟骨細胞の採取と同様に酵素処理もあわせて行った。軟骨膜細胞をコラゲナーゼ処理し、さらに濾過を行って細胞を採取した。これを培養液中で培養したところ付着系の細胞が得られた。形態的には組織片培養を行って得られた軟骨膜細胞と同様であった。
〔培養気管の作成〕軟骨細胞あるいは軟骨膜細胞をコラーゲン溶液に懸濁した細胞含有コラーゲン溶液を、自己組織再生型人工気管に浸透・ゲル化させ、培養気管を作製できた。
〔気管再建〕全身麻酔下にウサギの頸部皮膚を縦切開し、さらに前頸筋を正中で縦切開し喉頭および気管を露出させた。気管前壁を気管の約3分の1周、長軸方向に12~15mm範囲で切除した。気管欠損部を覆うように半円筒形の培養気管を留置し、ナイロン糸にて空気漏れが無いよう慎重に縫合固定した。最後に前頸筋および皮膚を縫合した。今回肋軟骨採取、あるいは培養気管移植を経た後、予定した観察期間を満たす前にウサギが死亡したことにより、今年度は培養気管移後の軟骨再生に関して評価するには至らなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

〔軟骨細胞、軟骨膜細胞の採取〕ウサギの肋軟骨の採取から、軟骨細胞、軟骨膜細胞の採取、さらに細胞培養に至る方法に若干の変更を加えることで、細胞採取の手技的向上を図ることができ、おおむね達成できたと考えられた。
〔培養気管の作製〕培養軟骨細胞あるいは軟骨膜細胞を人工材料に導入する方法は、おおむね達成できたと考えられた。
〔気管再建〕気管欠損部の作製に関しては、おおむね手技を確立できた。培養気管と気管の縫合に関しては、術後に死亡するケースを経験したことを受け、原因の一つとして疑われている気道狭窄、縦隔気腫等を作らないような縫合の工夫が必要と考えられた。気管再建に関してはやや遅れていると判定した。
〔標本作製・評価〕今年度および次年度で標本の採取・評価を行う計画であるが、今年度は標本の評価には至らず、やや遅れていると判定した。

今後の研究の推進方策

ウサギの気管再建の実験および評価を中心に行う。
〔培養気管の作製〕培養軟骨細胞、軟骨膜細胞を用いて培養気管モデルを作製する。
〔気管再建〕培養気管を気管欠損部に縫合する際に、気道狭窄回避を意図して再建部分の内腔をむしろ拡大するような縫合を行う。さらに縦隔気腫予防を意図して縫合の間隔をより狭くするなどの工夫を行う。
〔標本採取、標本評価〕観察期間の後に気管を摘出する。摘出した気管の凍結切片、パラフィン切片、あるいはTEM用の標本を作製する。H-E染色やトルイジンブルー染色等での形態観察を行う。蛍光顕微鏡にて蛍光標識した細胞を経時的に評価する。免疫染色(type II collagen等)、TEMにて軟骨組織の構造、再生気管の層構造を評価する。質的評価としてはRT-PCR(type II collagen、aggrecan)などを行う。

次年度の研究費の使用計画

実験動物として利用していたウサギが手術後に死亡するケースが続き、その原因検索や対応策検討に時間を要し、その間の手術的な動物実験、および組織評価に関わる作業を見合わせたことに伴い、当該年度で予定していた主に消耗品の購入を次年度に使用することとしたため。
動物実験に必要な消耗品(コラーゲン溶液、麻酔薬、抗体、実験器具等)や実験動物(ウサギ)の購入費に使用することを予定している。

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公開日: 2015-05-28  

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