喉頭癌は予後の良好な頭頸部悪性腫瘍の一つである。初期で発見されることが多く、機能を温存できるレーザー治療や放射線治療の高い成績が報告されている。一方、進行癌になると喉頭全摘出術が多く適用されている。また、化学放射線同時併用療法が多く用いられており、照射後再発例の救済手術としても喉頭全摘出術は主要な役割を果たしている。 喉頭亜全摘出術は進行喉頭癌や放射線照射後再発例の救済手術としても適用される。その腫瘍学的、機能面での治療成績は照射例でも非照射例でも変わらない(Nakayama M. ANL 2013)。喉頭亜全摘出術の腫瘍学的成績は局所再発率で表すと5-10%前後とされている。当科のSCL-CHEP 100例の解析でも7%の結果であった。局所再発は特にT3-T4 の進行癌で多く認められ、患側披裂部後端~声門下領域での制御が困難な症例が多かった。 喉頭亜全摘出術の嚥下機能については国内外より嚥下機能の獲得率や長期経過した時の誤嚥性肺炎の問題など、懸念が示されている。これに答えるために、長期経過症例の咽頭食道造影、嚥下内視鏡検査などを用いて経時的に嚥下機能の解析を行ってきた。解析結果は嚥下リハビリテーションの効果に還元する。手術後80 歳を超える亜全摘患者にしばしばみられる、咽喉頭粘膜のPliability 柔軟性の向上がどのように、加齢により低下が想定される嚥下機能を代償できるのかについて検討した。
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