研究課題
基盤研究(C)
頭頸部癌の克服のため頭頸部癌「幹細胞」に焦点を当て、その性状と特徴を明らかとすることを目的として解析を行った。本研究では頭頸部癌の幹細胞を簡易に同定するマーカーの同定と幹細胞の細胞生物学的解析を行った。インフォームドコンセントを得た頭頸部がん検体を用いて、コラゲナーゼ、トリプシン、DNase等を使用して腫瘍組織から浮遊細胞を調整した。これら腫瘍塊からサイコロ状に調整した移植片を超免疫不全NOGマウスの皮下に異種移植した。その結果、少なくとも3つの検体において、高効率に頭頸部癌組織が生着した。これらPDX株HPCM1-3はNOGマウス皮下で再び腫瘍形成し、10代以上の継代が可能であった。がん幹細胞が高率に含有されていることが示唆されたため細胞表面分子CD271に着目した。CD271high分画とCD271ow分画を採取しNOGマウスに移植したところ、high分画は腫瘍形成が明らかに上昇していた。Sphere形成能においてもCD271high分画は明らかにenrichしていた。さらに、PDX株の発現遺伝子プロファイルを検討した。その結果、幹細胞に発現する遺伝子nanogがCD271high分画で有意に上昇していた。一方、Oct4やSox2については明らかな差異は認めなかった。以上の結果から、頭頸部癌幹細胞マーカー候補として、CD271を同定した。CD271は、治療標的として有望な分子である可能性が考えられた。
1: 当初の計画以上に進展している
頭頸部癌から異種移植株PDXを複数樹立している。さらに幹細胞マーカー候補遺伝子としてCD271を同定することに成功した。幹細胞に発現する遺伝子nanogが高いことから、有望な成果である。以上の結果は、当初研究計画における期待を上回っている。計画以上の進展である。
次年度はドキシサイクリン誘導系細胞株およびPDX株を用いて、CD271high分画に特徴的に発現する治療標的をさらに解析する。当初研究計画の完遂を図る。
当初計画通り、細胞培養のための化学試薬、動物実験関係の消耗品、標的探索のための抗体類、成果発表のための旅費および論文投稿費等に充当する計画である。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
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