網膜色素変性に代表される遺伝性網膜変性疾患の多くは視細胞に特異的に発現する遺伝子の変異によって発症する。遺伝子変異によって最終的に視細胞が細胞死を起こすことが本疾患群の根本的な病態であるが、その視細胞死にほぼ直接的に関わる酵素としてカルパインがあることを申請者は明らかにした。さらに各種カルパインのなかでもミトコンドリアに局在するカルパイン-1がアポトーシス誘導因子を活性化させることも判明した。本研究ではこのカルパイン-1を特異的に阻害するペプチドを合成し、網膜色素変性モデルラットへ点眼することにより変性進行を抑制させることに成功した。
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