研究課題/領域番号 |
24592617
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
山下 英俊 山形大学, 医学部, 教授 (90158163)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 網膜硝子体疾患 / 炎症 / 樹状細胞 / 糖尿病黄斑浮腫 / ステロイド |
研究概要 |
網膜硝子体疾患における炎症メカニズムの関与とそれにに対するステロイド薬(ジフルプレドナート点眼薬)の治療効果検討により網膜硝子体疾患の炎症メカニズムを検討した。 1.細胞生物学的な検討:網膜硝子体疾患の硝子体手術時に採取した試料における炎症担当細胞を免疫組織化学的に観察した。細胞化学手的にCD68 ( macrophage marker) 、DEC205 (汎樹状細胞マーカー)、RPE65 ( retinal pigment cell marker)の発現を観察した。硝子体に出現している細胞について細胞化学的に検討した。その結果CD68陽性 macrophage:Quiescent group、 Active group両群でみられた。DEC205 (pan DC marker)陽性細胞:Active groupでみられ、出血と関連がみられた。糖尿病網膜症症例であり、CD68陽性 macrophage、DEC205 (pan DC marker)陽性細胞がともに見られた。 2.ステロイド点眼薬(ジフルプレドナート点眼薬)の治療効果対象は山形大学医学部附属病院眼科で2008年12月から2010年10月までDMEに対してジフルプレドナート点眼薬投与を行い、初回点眼終了後12か月以上経過観察可能であった29例42眼である。点眼治療のみで経過した症例は17例22眼で、点眼治療を1クール施行が12例15眼、2クール施行が4例5眼、3クール施行が2例2眼だった。 結論:網膜硝子体疾患眼では病態に炎症メカニズムが関与することを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では糖尿病網膜症を中心に網膜硝子体疾患における炎症メカニズムの関与とそれに対するステロイドの治療効果を検討し、網膜硝子体疾患における炎症メカニズムについて検討するものである。 1.細胞生物学的な検討:網膜硝子体疾患の硝子体手術時採取試料における炎症担当細胞を免疫組織化学的に観察した。細胞化学手的にCD68 ( macrophage marker) 、DEC205 (汎樹状細胞マーカー)、RPE65 ( retinal pigment cell marker)の発現を観察した。硝子体内細胞数は疾患活性度が低い症例群(Quiescent group)より活性度が高い症例群(Active group)では細胞数が有意に多かった(10.9vs118.1)。糖尿病網膜症症例であり、CD68陽性 macrophage、DEC205 (pan DC marker)陽性細胞がともに見られることを明らかにした。 2.炎症メカニズムが関与するということを臨床的に検討するために、臨床研究においてステロイド点眼薬(ジフルプレドナート点眼薬)の治療効果を検討した。治療効果が網膜厚の変化として定量的に検討可能である糖尿病黄斑浮腫に対してジフルプレドナート点眼薬投与を行い、初回点眼終了後12か月以上経過観察をおこなった。ステロイド点眼のみで約半数の症例で効果を1年継続できた。以上の検討の結果から、糖尿病網膜症を含め網膜硝子体疾患眼の硝子体内には炎症性の細胞、とくにマクロファージ、樹状細胞がみられ、病態に炎症メカニズムが関与することを示した。
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今後の研究の推進方策 |
炎症の細胞ネットワークの刺激、活性化のメカニズム、炎症惹起のカスケード、情報伝達システムの分子レベルでの解析、その制御をおこなうことにより炎症→増殖性変化への病態を複雑化させる経路を遮断する治療薬開発にどのように無図美つけるかを分子レベルで解析することにより、網膜硝子体の状態を正常に近づけるための治療薬、治療戦略を開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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