研究課題/領域番号 |
24592618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
加治 優一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50361332)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 角膜ジストロフィー / アミロイド / 光線力学療法 / 蛋白糖化最終産物 / D-アミノ酸 |
研究概要 |
角膜ジストロフィーの病態を解明し,それに基づく新しい治療法を開発することを目的として研究をスタートした.本研究の大まかな柱として,角膜ジストロフィーにおける蛋白質翻訳後修飾の関与の証明,角膜ジストロフィーのin vitroモデルの開発,角膜ジストロフィーに対する新規治療法の開発,角膜ジストロフィーのin vivoモデルの開発,角膜ジストロフィーに対する新規治療法の効果の証明があげられる. 本年度は,およそ50%にあたる,角膜ジストロフィーにおける蛋白質翻訳後修飾の関与の証明,角膜ジストロフィーのin vitroモデルの開発を終了し,かつ角膜ジストロフィーに対する新規治療法の開発についても着手することができ,有益な結果が得られている. まずは角膜ジストロフィーの病理標本を用いることで,蛋白糖化最終産物(Advanced Glycation End Products)およびD-アミノ酸含有蛋白質形成が,角膜ジストロフィーにおける異常凝集蛋白質の生成に関わることを証明した. 次に,角膜ジストロフィーにおけるTGFBI変異部位を含む22個のアミノ酸からなるペプチドを合成し,in vitroでアミロイド形成を定量的に評価する方法を開発した.さらに生じたアミロイドを,全反射型蛍光顕微鏡で観察することにより,アミロイドの形状を経時的に観察することが可能となった.この実験系は角膜ジストロフィーに対するin vitroモデルとして認知されるに至った. 最後に,角膜ジストロフィーの悪化因子として,多くの点眼液に含まれる防腐剤である塩化ベンザルコニウムを同定することができた.このことにより,角膜ジストロフィー患者に対して影響の少ない眼科医療が可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
角膜ジストロフィーのin vitroモデルの開発を完了し,角膜ジストロフィーに対する新しい治療法の開発にめどが立ってきたばかりではなく,角膜ジストロフィー発症の悪化因子も同定することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,角膜ジストロフィーに対する予防点眼液の作成に着手するとともに,角膜ジストロフィーのin vivoモデル作成に着手する. 角膜ジストロフィーに対する予防点眼液の候補は,元々角膜に内在する蛋白質の断片で,かつ変異型TGFBIの異常凝集を抑制する効果を有するものであることが望ましい.変異型TGFBIのペプチドの立体構造を元に,非変異型TGFBI由来のペプチドを多数作成し,そのアミロイド形成予防効果をin vitroで評価することにより,角膜ジストロフィーに対する予防点眼液の候補を多数見いだす. 角膜ジストロフィーの原因となる変異型TGFBIを遺伝子導入した不死化角膜上皮細胞を作成することで,ペプチドの段階から生細胞による角膜ジストロフィーのモデルを作成する.さらに変異型TGFBIをマウスに遺伝子導入するためのベクターを作成する.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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