研究実績の概要 |
これまで我々は、estrogen receptor beta (ESR2) 遺伝子多型の頻度が女性原発開放隅角緑内障 (POAG) で高く、眼圧上昇に関与していることをみいだし報告したが、estrogen-受容体による眼圧制御、眼圧上昇のメカニズムを分子生物学的レベルでより明らかにするため、Jackson Labolatoryよりestrogen receptor alpha (ESR1) 、ESR2ノックアウトマウスを購入。これらノックアウトマウスの眼圧上昇、視神経障害評価を行い、POAGモデルとしての可能性について検討するため、ESR1ノックアウトマウス、ESR2ノックアウトマウス共、野生型×ヘテロ遺伝子変異マウスの交配により繁殖実験を行った。他、対照コントロールとして野生型マウス、視神経障害評価のため、網膜神経節細胞 (RGC) の特異的蛋白であるThy1蛋白遺伝子にgreen fluorescent protein遺伝子をトランスジェニックすることにより、生体下にてRGCが自発蛍光を発するマウス(RGC自発蛍光マウス)の繁殖実験も併せて行い、ESR2ノックアウトマウス、RGC自発蛍光マウスについて実験が可能な繁殖が確認できた。生後2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月のESR2ノックアウトマウス、野生型マウスについて、腹腔内麻酔の後,両眼の夜間眼圧(21:00~23:00)を測定したところ、両眼の平均眼圧は、ESR2ノックアウトマウス、対照コントロール (野生型マウス) でそれぞれ、オスは2ヶ月後13.0mmHg, 12.4mmHg、4ヶ月後11.8mmHg, 13.1mmHg、6ヶ月後11.7mmHg, 11.7mmHg、8ヶ月後11.2mmHg, 11.6mmHg、メスは2ヶ月後13.0mmHg, 12.2mmHg、4ヶ月後12.1mmHg, 11.5mmHg、6ヶ月後11.2mmHg, 11.7mmHg、8ヶ月後11.0mmHg, 11.1mmHgであり、統計的有意差は認められなかった (P>0.05)。また、視神経障害評価のため網膜厚の計測を行っており、RGC数の計測を行うため、ESR2ノックアウトマウスとRGC自発蛍光マウスを交配中である。
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