研究課題/領域番号 |
24592623
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
西信 良嗣 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (30379193)
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研究分担者 |
大路 正人 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252650)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 応用動物 / 細胞・組織 / 脂質 / 蛋白質 |
研究概要 |
本年度の研究実施計画に従い研究を遂行した。抗VEGF薬(ベバシズマブ)および血栓溶解剤(組織性プラスミノーゲン活性化因子製剤・t-PA製剤)を内包した標的指向性リポソームを作製し解析を行った。 1.標的指向性リポソームの作製:ミセル混濁液とヒトIgG、抗VEGF薬(ベバシズマブ)または血栓溶解剤(t-PA製剤)を混合後、限外濾過を行い、ヒトIgG、抗VEGF薬(ベバシズマブ)内包リポソームおよび血栓溶解剤(t-PA製剤)内包リポソームを作製した。作製した3種類リポソームはそれぞれ110-120nmの粒子径を有していた。また脂質濃度を変化させることによって、リポソームの崩壊性が変化した。10mgのヒトIgG から1.66mg-2.11mgの内包リポソームが作製可能であった。内包効率は16.6%-21.1%であることがわかった。37℃の生理食塩水にリポソームを添加し、経時的にサンプリングすることにより、ヒトIgG内包リポソームからの漏出量を検討した。37℃で30日間はリポソームの粒子径分布に変化は認められなかったが、60日後には、粒子径分布の幅が大きくなった。漏出量に関しては、7日で8.6%、14日で12%、30日で18.4%、60日で34.7%となり、経時的な漏出率の増加が認められた。また、ヒトIgG内包リポソームのリポソーム表面をアルブミンコートすることによって、漏出率を低く調節できることがわかった。作製した標的指向性リポソームの粒子径、脂質濃度、内包薬物濃度を測定した結果、本研究に使用可能なリポソームであることが証明された。 2.網膜静脈閉塞症モデルの作製:全身麻酔下でカニクイザルの網膜静脈に対しレーザー光凝固装置にて網膜の静脈血管分岐部を凝固した。その結果、静脈閉塞を作製することが可能であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
標的指向性リポソームの作製は方法が確立していたので、本年度の研究実施計画に従って研究を遂行することが可能であった。カニクイザルを使用した網膜静脈閉塞症モデルの作製では、試行錯誤のため予想以上に時間がかかった。そのため、レーザー光凝固装置にてモデルを作成することは可能であったが、十分にモデルを評価するまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究実施計画に従って、標的指向性リポソームの作製は研究を遂行することが可能であった。今後は、作製した標的指向性リポソームが薬剤徐放性を有するか、まずin vitroで検討を行い、その後、in vivoで検討を行う。また、カニクイザルを使用した網膜静脈閉塞症モデルは作製可能であることがわかったので、眼底写真、蛍光眼底造影を用いて、静脈閉塞、黄斑浮腫、網膜虚血の程度を十分に評価し、網膜静脈閉塞症の程度を分類する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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