研究課題/領域番号 |
24592623
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
西信 良嗣 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (30379193)
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研究分担者 |
大路 正人 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252650)
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キーワード | 蛋白質 / 細胞・組織 / 脂質 / 応用動物 |
研究概要 |
本年度の研究実施計画に従い研究を遂行した。in vitroにおけるリポソームの薬剤徐放効果、リポソームによる網膜への影響を検討した。 1.標的指向性リポソームの薬剤徐放効果のin vitroでの検討:改良コール酸除去法により、IgG内包リポソーム溶液を作製した。表面をアルブミンコートすることにより、膜安定性を向上させたIgG内包リポソーム溶液も作製した。作製したリポソーム溶液を動的光散乱法により測定したところ約100nmの均一な粒子径を有していた。使用IgG量の15-20%がリポソームに内包されたことがわかった。37℃の生理食塩水にリポソームを添加し、経時的に抽出し、限外濾過することにより、ヒトIgG内包リポソームからのIgG漏出量を検討した。37℃で30日間はリポソームの粒子径分布に変化は認められなかったが、60日後には、粒子径分布の幅が大きくなり、リポソームが不安定化した。漏出量に関しては、7日で8.6%、14日で12%、30日で18.4%、60日で34.7%となり、経時的な漏出率の増加が認められた。改良コール酸除去法により、ベバシズマブ内包リポソームを作製し、リポソームからのベバシズマブの漏出量を検討した。漏出量は、7日で0.29%、14日で0.94%、42日で1.63%、60日で5.50%となり、経時的な漏出率の増加が認められた。アバスチン内包リポソームの方が漏出率が低いことがわかった。リポソーム表面をアルブミンコートしているため、リポソームを安定化し、ベバシズマブの漏出を抑えていると推測された。 2.カニクイザルの硝子体内における標的指向性リポソームの薬物動態の検討:全身麻酔下でカニクイザルの硝子体にリポソームを投与し、経時的変化を細隙灯顕微鏡により検討した。投与後、2週間の段階では眼内炎など明らかな炎症所見を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
標的指向性リポソームの薬剤徐放効果のin vitroでの検討は、本年度の研究実施計画に従って研究を遂行することが可能であった。カニクイザルの硝子体内における標的指向性リポソームの薬物動態の検討は、試行錯誤のため予想以上に時間がかかった。そのため、リポソームの硝子体内における経時的変化を細隙灯顕微鏡により検討することは可能であったが、網膜循環動態の検討、電気生理学的検討など十分に検討するまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究実施計画に従って、標的指向性リポソームの薬剤徐放効果のin vitroでの検討は研究を遂行することが可能であった。今後は、作製した標的指向性リポソームが薬剤徐放性を有するかをin vivoで検討し、カニクイザルを使用した網膜静脈閉塞症モデルは作製可能であったので、そのモデルを用いて、治療効果を検討する。
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