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2012 年度 実施状況報告書

強度近視における脈絡膜新生血管の発生機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24592624
研究種目

基盤研究(C)

研究機関京都大学

研究代表者

山城 健児  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80399617)

研究分担者 村上 智昭  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50549095)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード強度近視 / 脈絡膜新生血管
研究概要

近年、近視は増加の一途をたどっており、特にアジアでの近視の罹患率は40%程度と報告されている。その中でも近視の程度が強い強度近視は5%程度に認められ、我が国の中途失明の原因の上位を占めている。強度近視よる失明は主に脈絡膜新生血管およびそれにともなう網脈絡膜萎縮によって生じているにもかかわらず、強度近視眼における脈絡膜新生血管の発生機序は解明されていない。
我々は強度近視症例の末梢血から得られたDNAサンプルを1000以上保有しており、これまでにも強度近視の発症に関わる感受性遺伝子を同定するために、ゲノムワイド関連解析等の研究を行い、その成果を発表してきた。本研究では上記サンプルのうち、脈絡膜新生血管を有するものを有さないものの遺伝子型を比較することにより、脈絡膜新生血管の発生原因を探求した。
VEGF遺伝子の一塩基多型が脈絡膜新生血管の発生には関与していないものの、脈絡膜新生血管の病変サイズに影響を与えることが明らかとなった。さらに、この一塩基多型は強度近視眼における脈絡膜新生血管に対する抗VEGF治療の後の視力予後にも影響を与えており、その機序として病変サイズを介したものの他にVEGF遺伝子の一塩基多型が直接的に作用している可能性を明らかにした。
本研究の結果は、強度近視眼における脈絡膜新生血管の発生・拡大機序の解明につながるだえけでなく、その治療効果の違いをも説明できる可能性があり、強度近視を原因とする失明の予防につながると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

強度近視症例の末梢血から得られたDNAサンプルのうち、脈絡膜新生血管を有するものを有さないものの遺伝子型を比較することにより、脈絡膜新生血管の病変サイズ拡大にVEGF遺伝子の多型が関与していることを明らかにしただけではなく、治療に対する反応性にも影響を与えていることが明らかとなり、強度近視を原因とする失明の予防につなげていくことが出来ると考えた。
また、マウスおよびラットをもちいた近視モデル作成を並行して行っており、動物実験の準備も整っている。

今後の研究の推進方策

平成24年度の研究では脈絡膜新生血管を有するものを有さないもののうち、550Kチップおよび610Kチップを用いて50万から60万の一塩基多型(SNP)を検出したサンプルを用いて、比較検討を行ったが、有意差を示すSNPが発見出来なかった。今後は1000ゲノムデータを用いてimputeを行った後に再度比較検討を行い、新たなターゲットを発見していく。

次年度の研究費の使用計画

新たに発見したSNP近傍の遺伝子をターゲットにして、全サンプルを用いて遺伝子内のSNPを検出し、候補遺伝子を絞っていく。また、我々は新たに近視発症の原因となる遺伝子を発見しており、その遺伝子が強度近視眼における脈絡膜新生血管の発症に関与している機序をゲノム研究および動物実験で示して行きたいと考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)

  • [雑誌論文] Long-term effect of intravitreal injection of anti-VEGF agent for visual acuity and chorioretinal atrophy progression in myopic choroidal neovascularization.2013

    • 著者名/発表者名
      Oishi A, Yamashiro K, Tsujikawa A, Ooto S, Tamura H, Nakata I, Miyake M, Yoshimura N.
    • 雑誌名

      Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.

      巻: 251 ページ: 1-7

    • DOI

      10.1007/s00417-012-2022-8.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Vascular endothelial growth factor gene polymorphisms and choroidal neovascularization in highly myopic eyes.2012

    • 著者名/発表者名
      Akagi-Kurashige Y, Kumagai K, Yamashiro K, Nakanishi H, Nakata I, Miyake M, Tsujikawa A, Moriyama M, Ohno-Matsui K, Mochizuki M, Yamada R, Matsuda F, Yoshimura N.
    • 雑誌名

      Invest Ophthalmol Vis Sci.

      巻: 53 ページ: 2349-53

    • DOI

      10.1167/iovs.11-9405.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Factors associated with the response of age-related macular degeneration to intravitreal ranibizumab treatment.2012

    • 著者名/発表者名
      Yamashiro K, Tomita K, Tsujikawa A, Nakata I, Akagi-Kurashige Y, Miyake M, Ooto S, Tamura H, Yoshimura N.
    • 雑誌名

      Am J Ophthalmol.

      巻: 154 ページ: 125-36

    • DOI

      10.1016/j.ajo.2012.01.010.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Genetic variants on chromosome 1q41 influence ocular axial length and high myopia.2012

    • 著者名/発表者名
      Fan Q, Barathi VA, Cheng CY, Zhou X, Meguro A, Nakata I, Khor CC, Goh LK, Li YJ, Lim W, Ho CE, Hawthorne F, Zheng Y, Chua D, Inoko H, Yamashiro K, et al
    • 雑誌名

      PLoS Genet.

      巻: 8 ページ: e1002753

    • DOI

      10.1007/s00439-012-1176-0.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Association of paired box 6 with high myopia in Japanese.2012

    • 著者名/発表者名
      Miyake M, Yamashiro K, Nakanishi H, Nakata I, Akagi-Kurashige Y, Tsujikawa A, Moriyama M, Ohno-Matsui K, Mochizuki M, Yamada R, Matsuda F, Yoshimura N.
    • 雑誌名

      Mol Vis.

      巻: 18 ページ: 2726-35

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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