研究課題/領域番号 |
24592625
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
辻川 明孝 香川大学, 医学部, 教授 (40402846)
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研究分担者 |
大音 壮太郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10511850)
村上 智昭 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50549095)
宇治 彰人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60534302)
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キーワード | 補償光学 |
研究概要 |
現在、補償光学を適用走査レーザー検眼鏡に適用することにより、生体下で二次元的に網膜を細胞レベルで観察することが可能である。そこで、本研究の全体構想は補償光学適用走査レーザー検眼鏡(AO-SLO)の撮影速度・感度・システムを改良し、生体下で三次元的に細胞レベルでの網膜の構造を画像化し、解析評価するシステムを開発する。 これまで、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫の病態・構造・機能の評価は光干渉断層計(OCT)を中心に進められてきた。しかし、現行のOCTでは解像度の限界から細胞レベルの評価は不可能であり、通常は網膜断面像で評価することが多い。そこで、AO-SLOを適応することにより、黄斑浮腫による網膜視細胞の障害を二次元的・定量的に評価し、機能障害との関係を明らかにする。さらに、改良AO-SLOを用いて、黄斑浮腫の細胞レベルでの三次元的な構造・病態・機能解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AO-SLOの眼底トラッキング機能の向上により固視微動などの補正を高速で行うように改良した。また、眼球全体の収差を計測・処理速度を高めることができるようにシステムに改良を行った。改良したAO-SLO試作機を用いて、黄斑浮腫が消失した陳急例、黄斑浮腫を伴った急性例の視細胞を細胞レベルで撮影・画像化し、細胞障害の程度を定量的な解析を行った。また、得られた視細胞の画像と光干渉断層計での網膜視細胞層の健常さ、厚さとの関連を解析した。 嚢胞様黄斑浮腫を認めた症例のcystoid space下の視細胞をAO-SLOで撮影し、黄斑浮腫症例でも撮影が可能であることを確かめた。 また、本システムを用いて、正常人の網膜循環動態を測定し、得られたデータから網膜毛細血管レベルの血流量・血流速度・血管径・血球の流速度の正常値を計測した。
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今後の研究の推進方策 |
改良したAO-SLOを用いて、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫症例の撮影を行い、生体下で三次元的な細胞レベルでの黄斑浮腫の画像化を行い、病態・構造・機能の解析を行う。また、網膜毛細血管レベルでの個々の血球の循環動態を観察し、網膜循環静脈閉塞症に伴う循環動態の変化・黄斑浮腫への影響を評価する。 改良したAO-SLOを用いて、黄斑浮腫が消失した陳急例、黄斑浮腫を伴った急性例の視細胞を細胞レベルでの撮影を行う。得られたデータを基に黄斑浮腫の構造を三次元的に画像化する。撮影解析したデータとマイクロペリメトリーを用いて測定した網膜感度を比較検討することにより、網膜視細胞の障害の程度と網膜機能との関連を検討する。 改良したAO-SLOにマイクロペリメトリーを搭載し、細胞レベルで刺激を行い、網膜の感度と、細胞障害の程度との関連を検討する。 改良したAO-SLOを用いて、黄斑浮腫が消失した陳急例、黄斑浮腫を伴った急性例における個々の血球の三次元的な循環動態の計測を行う。個々の白血球の循環動態、白血球―網膜血管内皮との相互作用を定量的に評価し、黄斑浮腫の病態への関与を検討する。
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