研究課題/領域番号 |
24592630
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森實 祐基 岡山大学, 大学病院, 講師 (50432646)
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研究分担者 |
小阪 淳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40243216)
米澤 朋子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30304299)
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 網膜色素上皮細胞 |
研究概要 |
加齢黄斑変性の最大の背景因子は加齢であり、加齢に伴う網膜色素上皮細胞(RPE)の機能低下を原因として網膜の恒常性が破綻し、 血管新生や網膜障害が起こる。本研究ではRPEの機能低下をAMPKの活性化によって防止できるかどうかについて検討する。平成24年度に培養実験系におけるRPEの老化の誘導法として、培養細胞の継代を繰り返す方法と過酸化水素を用いて酸化ストレスを負荷する方法を行った。これらの方法で老化を誘導することができたが、加齢黄斑変性の重要な細胞変化であるドルーゼンの蓄積に関わるのネプリライシンの発現について、老化を誘導しても有意差が得られなかった。平成25年度はこれらの結果を鑑み、酸化ストレス負荷の方法として、新たな方法を試みた。この方法は慢性的な酸化ストレスを細胞に与える方法であり、より加齢黄斑変性の病態に近いと考えられた。具体的にはtert-BHPを用いて約1週間かけて細胞に酸化ストレスを与えた。この方法を試みた結果、細胞の扁平、肥大化、増殖能の低下がみられた。なお死亡する細胞はほぼみられなかった。新たな酸化ストレスモデルを確立する一方で、網膜色素上皮細胞の細胞機能の評価方法の確立に取り組んだ。特に、網膜色素上皮細胞の貪食能とタイトジャンクション形成能について取り組み、それぞれ蛍光ビーズを用いて細胞内に取り込まれるビーズを定量化する方法、また2層式細胞培養系において網膜色素上皮細胞のタイトジャンクションの形成を蛍光染色法で評価する方法に成功した。 これらの成果を基盤に、次年度は酸化ストレスが網膜色素上皮細胞の機能に及ぼす影響を評価し、またAMPキナーゼの活性化が与える効果を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、AMPキナーゼの抗酸化ストレス作用を明らかにするまでは至っていないが、慢性酸化ストレスモデルの確立に成功したこと、網膜色素上皮細胞の細胞機能の評価法の準備が整いつつあることから、今後重要な結果が得られる可能性が高いと考え、概ね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
今回確立した慢性酸化ストレスモデルを用いて、酸化ストレスが網膜色素上皮細胞の増殖能、貪食能、バリア形成能(タイトジャンクション)、黄色色素取り込み能に及ぼす影響を検討する。その上で、AMPキナーゼが酸化ストレス耐性を網膜色素上皮細胞に与えうるかどうかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
網膜色素上皮細胞の老化誘導の方法の確立については、予定していたよりも研究費を必要としなかったため、次年度に繰越した。 次年 度以降は、細胞へのAMPKの遺伝子導入、様々な細胞機能評価を計画しており、これらに研究費を使用する予定である。
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