研究課題/領域番号 |
24592631
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鈴間 潔 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80335265)
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研究分担者 |
築城 英子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30363493)
藤川 亜月茶 長崎大学, 大学病院, 講師 (60363503)
松本 牧子 長崎大学, 大学病院, 助教 (70437903)
北岡 隆 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80234235)
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キーワード | 糖尿病網膜症 / VEGF / インクレチン / iPS細胞 / 血管再生 |
研究概要 |
糖尿病網膜症は成人の失明原因として主要な割合を占めており、その病態解明・治療法の確立が非常に重要な問題となっている。糖尿病網膜では毛細血管の障害・脱落により網膜無灌流領域が形成されることにより血管内皮増殖因子(VEGF)やエリスロポエチンといった様々な増殖因子が産生・放出され、血管透過性亢進による網膜浮腫(視力低下)や血管新生(緑内障、硝子体出血)により失明に至ると考えられている。最近血糖コントロールに使用されるようになったインクレチン製剤であるexendin4の網膜血管透過性への効果を検討したところVEGF依存性の透過性亢進をexendin4が有為に抑制した。このことは世界で初めての発見であり、血糖コントロールと糖尿病黄斑浮腫の両方を同時に治療できる薬剤の開発につながる可能性がある。Exendin4の作用メカニズムの検討もほぼ終了しており近いうちに論文投稿を予定している。 またiPS細胞から網膜を再生し、それを無血管網膜とした血管再生研究を理化学研究所との共同研究で開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
時間的人員的に研究が予定通りすすんでいない部分もあるが方向性としては問題ないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度 動物モデルでの検討(鈴間、北岡、藤川、築城):コハク酸、エリスロポエチンの作用を動物モデルで確認したうえで、短期の糖尿病への作用を検討する。1.コハク酸レセプター、エリスロポエチンおよびEPO受容体の遺伝子を導入するためのウイルスベクターを作成する。2.上記ウイルスベクターを培養網膜血管細胞に導入しin vitroでこれらの因子の作用を検討する。3.上記ウイルスベクターをラット眼内に注入し時間経過を追って眼球を採取し組織学的検討を行う。両網膜血管細胞の局在をvWF(内皮細胞)、3G5, αSMA(smooth muscle cell actin)(周皮細胞)などのmarkerに対し免疫染色をを行い、confocal microscopeにより検討する。さらにcoganらにより有名なtrypsin digestionの手法を用いてpericyte lossの現象が見られるか検討する。 4.ラットにストレプトゾトシンで糖尿病を誘発しEvans blueを用いて網膜血管の透過性を測定することによりコハク酸、エリスロポエチンの作用を検討する。 以上の結果よりコハク酸、エリスロポエチンの作用がin vivoにおいても確認される。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究者の妊娠出産などで研究計画に遅れが生じたため 平成26年度 動物モデルでの検討(鈴間、北岡、藤川、築城):コハク酸、エリスロポエチンの作用を動物モデルで確認したうえで、短期の糖尿病への作用を検討する。1.コハク酸レセプター、エリスロポエチンおよびEPO受容体の遺伝子を導入するためのウイルスベクターを作成する。2.上記ウイルスベクターを培養網膜血管細胞に導入しin vitroでこれらの因子の作用を検討する。3.上記ウイルスベクターをラット眼内に注入し時間経過を追って眼球を採取し組織学的検討を行う。両網膜血管細胞の局在をvWF(内皮細胞)、3G5, αSMA(smooth muscle cell actin)(周皮細胞)などのmarkerに対し免疫染色をを行い、confocal microscopeにより検討する。さらにcoganらにより有名なtrypsin digestionの手法を用いてpericyte lossの現象が見られるか検討する。
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