研究課題/領域番号 |
24592637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
緒方 奈保子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60204062)
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研究分担者 |
上田 哲生 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00364068)
車谷 典男 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10124877)
西 智 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70571214)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 疫学調査 / 加齢黄斑変性 / 白内障 / 高齢者の視機能 |
研究概要 |
高齢人口の急増するなか、高齢者のQOLと生活機能が社会的にも大きな問題になっている。「高齢者のQOLと生活機能に関するコホート研究(藤原京スタディ)」において2007年と2008年に65歳以上の高齢者を対象として実施したベースライン健診受診者4427人を対象に、高齢者約60人/日の検診を平成24年度に奈良県内約15カ所、計約60日間にわたり実施した。問診、内科的検査、精神科的検査、体力測定、一般採血検査等を行うとともに眼科検診として視力検査、眼圧検査、眼底カメラ撮影、光干渉断層計(OCT)を用いた眼底検査をおこなった。 結果として2878人(男性 1518 人、女性 1360 人)が受診した。そのうち橿原市在住者1234人を解析したところ、平均年齢は76.1 歳、平均矯正視力は0.94 (LogMar視力にて統計後少数視力に換算)であった。問診では白内障273人(22%)、緑内障33人(2.7%)であった。白内障群は546眼(年齢76.4歳、視力0.90)、白内障既往のない群(白内障なし群)は1380眼(74.9歳、視力1.02)、白内障手術既往群は415眼(78.1歳、視力1.02 )であった。無散瞳眼底撮影及びOCTで診断できた眼疾患は黄斑上膜196眼(7.9%)、加齢黄斑変性32眼(1.3%)、硝子体黄斑牽引症候群19眼(0.8%)、網膜静脈分枝閉塞症17眼(0.7%)であった。このように高齢者の眼の特徴が明らかとなった。 さらに、社会活動の団体への参加数と視力の関係をみると、スポーツ的活動を週1回以上行っている群では、行っていない群に比べて有意に視力が良好であった(P=0.02)。このように高齢者のQOLと生活機能に視力は重要な要因を閉めていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
奈良県内在住65歳以上の高齢者約60人/日の検診を平成24年度に奈良県内約15カ所、計約60日間にわたり実施できた。 結果として2878人(男性 1518 人、女性 1360 人)が受診、問診、内科的検査、精神科的検査、体力測定、一般採血検査等を行うとともに眼科検診として視力検査、眼圧検査、眼底カメラ撮影、光干渉断層計を用いた眼底検査をおこなえた。また、検診受診者に眼科アンケート調査(VFQ -25(the National Eye Institute Visual Function Questionnire,25-item)を使用した調査も行うことができた。 視力検査より、高齢者の視力の状態、また問診や眼底カメラ撮影、光干渉断層計を用いた眼底検査から眼疾患の有病状態を明らかにできた。 さらに高齢者の社会活動性と視力の関係が解析できた。
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今後の研究の推進方策 |
うつ病、認知症と視機能の関係を検討し、視機能が精神活動に及ぼす影響を調べる。 さらに、血液の生化学的検討を加え、眼疾患発症の要因、病態の解明と全身疾患との関連を解明する。特に糖尿病 網膜症、メタボリック症候群、加齢黄斑変性と関係が深いとされる血中アディポネクチン、PEDF(色素上皮由来因子)、VEGF(血管内皮増殖因子)、CRP、TGFβ濃度を測定し、眼疾患と全身因子との関係を明らかにする。さらに呼吸器疾患やアルツハイマー病と加齢黄斑変性との関係を調査する。 また、高齢者のOCTで測定した網膜厚、脈絡膜厚を解析し、眼疾患、眼循環、循環器疾患との関係を調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 血中アディポネクチン、PEDF(色素上皮由来因子)、VEGF(血管内皮増殖因子)、CRP、TGFβ濃度の測定キットの購入および検査費用 2. OCTで測定した網膜厚、脈絡膜厚のソフト開発費用、データ入力費用と解析費用 3. 学会発表および出張費、研究打ち合わせ旅費、論文校正代金、論文投稿費 4. 追加検診の検査員人件費
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