研究課題/領域番号 |
24592637
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
緒方 奈保子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60204062)
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研究分担者 |
上田 哲生 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00364068)
車谷 典男 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10124877)
西 智 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70571214)
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キーワード | 疫学研究 / 加齢黄斑変性 / 白内障 / 高齢者の視機能 / 認知機能 |
研究概要 |
元気な高齢者のひけつをさぐることを目的とし、独歩可能な高齢者の健診を平成24年度に実施した。眼科健診「藤原京EYEスタディ」として行い2868人(男性 1513 人、女性 1355 人、平均年齢76.3 ± 4.9)が受診し、その検診結果の解析を進めている。74歳以下、75歳-79歳、80歳以上の3群の視力を比較したところ、高齢になるとともに視力が低下する結果であったが、いずれの群も少数視力換算0.9以上であり、元気な高齢者は視力も良い結果であった。 対象とした5736眼のうち、問診で白内障の指摘なしは53.3%、白内障の指摘ありは25.6%、白内障術後は19.5%、70歳以上、平均年齢75歳以上の高齢者の眼で約20%が白内障手術を受けていることがわかった。 OCT検査を施行できた5714眼のうち加齢黄斑変性は92眼1.6%に認められた。これは眼底写真を用いた先行研究、Hisayama Studyの0.5%に比べやや高い結果であった。 さらに同時に施行したMMSE (Mini Mental State Examination)で 23点以下を認知機能低下と判定し、視力との関連性を検討した。解析できた2852人(男性1502人、女性1350人)のうち、認知機能低下なしは2693人(94.5%、76.1±4.8歳、小数視力換算1.02)、認知機能低下有りは159人(5.5%、79.0±5.5歳、小数視力換算0.97)であった。有り群は無し群にくらべ有意に高齢で視力が悪かった(P<0.001)。さらに視力良好群、視力不良群別の検討では、不良群の認知機能低下のオッズ比は良好群に対し2.29(95%CI:1.65-3.19)と有意に1を超え、年齢調整後も1.84(同1.31-2.58)と有意な上昇であり、視力不良により認知機能低下のリスクが約2倍になる事がわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
奈良県内在住65歳以上の高齢者約60人/日の検診を平成24年度に奈良県内約15カ所、計約60日間にわたり実施した結果として2868人(男性 1513 人、女性 1355 人、平均年齢は76.3 ± 4.9)が受診。問診、内科的検査、精神科的検査、体力測定、一般採血検査等を行うとともに眼科検診として視力検査、眼圧検査、眼底カメラ撮影、光干渉断層計を用いた眼底検査をおこなった結果を解析できた。 視力検査より、高齢者の視力の状態、さらに問診や眼底カメラ撮影、光干渉断層計を用いた眼底検査から眼疾患の有病状態を明らかにできた。 さらに高齢者の視力の認知症に関係があることが解析できた。
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今後の研究の推進方策 |
うつ病、認知症と視機能の関係を検討し、視機能が精神活動に及ぼす影響を調べる。 さらに、血液の生化学的検討を加え、眼疾患発症の要因、病態の解明と全身疾患との関連を解明する。特に糖尿病 網膜症、メタボリック症候群、加齢黄斑変性と関係が深いとされる血中アディポネクチン、PEDF(色素上皮由来因子)、VEGF(血管内皮増殖因子)、CRP、TGFβ濃度を測定し、眼疾患と全身因子との関係を明らかにする。さらに呼吸器疾患やアルツハイマー病と加齢黄斑変性との関係を調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ELISA測定キットの購入を予定している ELISA測定キットにより加齢黄斑変性患者のTNFα、PEDFの測定を行う
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