研究課題/領域番号 |
24592639
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
金子 宗義 岩手医科大学, 医学部, 講師 (80438499)
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研究分担者 |
町田 繁樹 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (30285613)
大関 尚行 岩手医科大学, 医学部, 助教 (70453298)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多局所網膜電図 / PhNR / N2応答密度 / 視神経障害 / 緑内障 |
研究概要 |
研究に用いている多局所網膜電図(以下mfERG)記録装置のもともとの記録条件で得られる波形は局所網膜電図(以下fERG)、全視野刺激網膜電図(以下ERG)で得られる波形とは異なると考えられている。本研究では、mfERGの記録条件を変えることでfERG、ERGで得られる波形と同様の波形を得ることが可能であることを証明し、緑内障の早期発見への応用を目的としている。mfERGの記録条件を変えることで以下の学会報告をした。 2012年5月6日~9日に米国フロリダ州フォート・ローダーデ―ルで開催された国際学会ARVO(The Association for Research in Vision and Ophthalmology:視覚と眼科学研究協会会議)での発表内容は次の通りである。 視神経が障害されるという点で緑内障と共通する視神経炎症例では局所網膜電図や全視野刺激網膜電図のphotopic negative response(PhNR)が減弱することが報告されているので、同症例からmfERGを記録し、N2成分の応答密度が減弱することを初めて報告し、mfERGのN2応答密度がfERGあるいはERGのPhNRに相当すると考えられることを報告した。その際に光干渉断層計を用いて神経線維層厚との関連を示した。 2013年5月5日~9日に米国ワシントン州シアトルで開催された国際学会ARVOでの発表内容は次の通りである。 緑内障症例ではfERGやERGのPhNRが減弱することが報告されているので、同症例から多局所網膜電図を記録し、N2応答密度が減弱することを報告した。このことからmfERGのN2応答密度がfERGあるいはERGのPhNRに相当すると考えられることを報告した。 上記2つの研究成果を示すことで、mfERGがその記録条件を変えるだけで緑内障の早期発見に役立つ可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の点が上記自己点検による評価の理由である。 ①多局所網膜電図(以下mfERG)の記録条件を変えて、局所網膜電図(fERG)、全視野刺激網膜電図(ERG)の波形とほぼ同様の波形をうることが可能となっている。各種網膜電図記録装置を用いた電気生理の研究では波形の記録が安定していることが非常に重要であり、現時点で目的とするmfERG記録が安定して問題なく出来ていることは研究が順調に進展していることを示唆するものである。 ②mfERGのN2応答密度が、fERGとERGのphotopic negative response(PhNR)と同様の変化を示すことを、視神経炎と緑内障という異なる疾患で確認し、それらを国際学会で報告することが出来た。 ③緑内障症例からmfERGを記録した症例数が順調に増えており、現時点では2013年5月の国際学会で報告した症例数のおよそ2倍に達している。
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今後の研究の推進方策 |
2012年と2013年の国際学会で発表報告した内容(視神経炎症例に関する報告と緑内障症例に関する報告)についてそれぞれ英文論文にして投稿する。さらに緑内障症例数を増やし、視野検査などの他の検査との相関を検討し、学会報告、論文作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
学会参加に関わる費用、論文投稿に関わる費用、mfERG記録などに必要な消耗品費などに研究費を使用する予定である。
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