研究課題/領域番号 |
24592642
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
神谷 和孝 北里大学, 医学部, 准教授 (80439116)
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研究分担者 |
清水 公也 北里大学, 医学部, 教授 (60124674)
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キーワード | 有水晶体眼内レンズ / Hole ICL / 視機能 / 眼球光学特性 / 長期臨床成績 |
研究概要 |
『①長深度前眼部OCTを用いた毛様溝径計測によるレンズサイズの評価』 予備的な検討ではいずれも従来の安全基準(J Refract Surg. 2008)に該当し、最適化されたサイズのレンズの選択が明らかとなった。今後さらに症例数を増やし検討する。 『②貫通孔付き有水晶体眼内レンズと従来型レンズの術後視機能の比較』 眼球高次収差、コントラスト感度、自覚的症状ついては有意差はなく、(Shimizu K et al. Am J Ophthalmol 2012)前方散乱や網膜面結像特性にも有意差を認めず(Kamiya K et al. PLoS One 2013)、臨床的に正常眼と比較してほぼ同等の視機能を有することが明らかとなった(Kamiya K et al. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2012)。 『③ブタモデルによる貫通孔付き有水晶体眼内レンズが房水動態に及ぼす影響の検討』 ミニ豚に対してシリコンパウダーを後房内に注入した後、前眼部ビデオ撮影を行った。その結果、後房から前房に向けて貫通孔を通してシリコンパウダーの流出が確認された。 『⑤流体力学シミュレーションによる貫通孔が房水動態に及ぼす影響の検討』 前房内中央部の房水速度は貫通孔あり1.52×10-1 mm/sec、貫通孔なし1.21×10-5 mm/secであり、房水循環が改善されることがin vitroで確認された。 『⑥長深度前眼部OCTと貫通孔付きレンズの併用による有水晶体眼内レンズの長期臨床成績の検討』 現在は症例数を増やし、長期経過観察を行っている。術後長期の再近視化に関与する術前因子が年齢と眼軸長であり、核硬化度と眼軸長の延長が有意な影響を及ぼすこと(Kamiya K et al. Am J Ophthalmol 2014)や貫通孔の存在が術後自覚屈折度数やVaultに有意な影響を及ぼさないことも明らかとなり、現在投稿中である(Kamiya K et al. J Cataract Refract Surg in revision)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『④貫通孔付き有水晶体眼内レンズのエッジグレアの光学的検討』については今年度内に施行予定である。その他の検討についてはおおむね順調に進捗しており、欧米雑誌にすでに4報が掲載されており(Shimizu K et al. Am J Ophthalmol 2012, Kamiya K et al. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2012, Kamiya et al. PLoS One 2013, Kamiya K et al. Am J Ophthalmol 2014)、現在1報が改変中である(Kamiya K et al. J Cataract Refract Surg in revision)。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の計画は『④貫通孔付き有水晶体眼内レンズのエッジグレアの光学的検討』および『⑥長深度前眼部OCTと貫通孔付きレンズの併用による有水晶体眼内レンズの長期臨床成績の検討』については症例数を増加した上で、予定通り研究を継続する。特に眼球光学特性解析装置C-Quant(Oculus社)を用いて『②貫通孔付き有水晶体眼内レンズと従来型レンズの術後視機能の比較』および『⑥長深度前眼部OCTと貫通孔付きレンズの併用による有水晶体眼内レンズの長期臨床成績の検討』において屈折矯正手術後の眼球高次収差だけでなく自覚的・他覚的散乱特性の詳細の解析を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画『③ブタモデルによる貫通孔付き有水晶体眼内レンズが房水動態に及ぼす影響の検討』について、他で実施する共同研究等により、当該補助金を執行せずに遂行可能となり、視機能に及ぼす影響について、より詳細を明らかにすることを目的として新たに眼球光学特性解析装置C-Quant(Oculus社)を購入したが、当該装置の購入金額と執行可能残額に若干の差異があった。 研究計画『②貫通孔付き有水晶体眼内レンズと従来型レンズの術後視機能の比較』および『⑥長深度前眼部OCTと貫通孔付きレンズの併用による有水晶体眼内レンズの長期臨床成績の検討』において屈折矯正手術後の眼球高次収差だけでなく自覚的・他覚的散乱特性の詳細の解を進める予定である。新たな機器の申請は行わず、一部レンズ偏心や傾斜によるエッジグレア影響を検討する目的で、レンズ位置や傾きを調整可能とするための模型眼の改良費や人件費に充てる。また、本研究成果を国内・海外学会で発表するための旅費、論文投稿にかかる謝金、論文掲載料等にも使用する予定である。
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