研究概要 |
本年度はマウスSkin-derived precusros (SKPs)および角膜誘導内皮のマーカーの検証をした。まずSKPsであるが神経堤細胞由来の皮膚由来幹細胞であることの確認としてRT-PCRでp75, Sox9, Sox10, Twist, Slug, Snail, Pax3, Derm1, Wnt5aの発現を確認した。またそのSphereの免疫染色ではp75とSox10の発現を確認した。我々の開発した角膜実質幹細胞から角膜内皮細胞への分化誘導法を応用し、SKPsにレチノイン酸、GSK3β阻害剤(BIO)等の誘導因子を添加し接着培養したところ、誘導した内皮は角膜内皮マーカー(Atp1a1, Cdh2, Car2, Pitx2, SLCA4, Col4a2, Col8a2, Integrinα3)が陽性であった。誘導前後のマーカーの推移を定量的PCRで評価すると誘導後に概ね上昇していた。また昨年度みられたような重層化をコントロールすることに成功した。またtight-junction形成の指標であるZO-1の発現およびポンプ機能の指標であるNaKATPaseの発現を確認することができた。しかしながらZO1の発現がまだ若干微弱であることからさらなる培養条件の検討が必要と考え現在最終プロトコールを研鑽している次第である。 ヒトSKPsの誘導に関しては一度に得られる検体も小さくまたSKPsの分離が当初は難航したが、既報をmodifyした方法により効率よく分離継代することに成功した。そして内皮誘導にむけてレチノイン酸などの誘導因子を添加し接着培養したところ、ZO1、NaKATPaseの発現を確認することができた。また一部の角膜内皮マーカーの発現を認めている。誘導のプロトコールが決まり次第、順次in vitroでの機能解析やin vivoでの家兎への移植実験を施行する予定である。
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