研究実績の概要 |
本年度は30歳台から80歳台までの様々な年齢のドナーの眼瞼皮膚よりSKPsを分離し、拡大培養することに成功した。分離初期に接着培養でexpansionした後に浮遊培養を経て再度接着培養させ、レチノイン酸、GSK3β阻害剤などの因子添加して誘導しヒトSKPs誘導内皮を得た。ヒトSKPs誘導内皮はATP1a1,Adh2,Pitx2,Integrinα4などの発現を確認し、定量的PCRで誘導前後を比較すると誘導後に概ね上昇していた。誘導時にsingle cellへと完全に分散させてから播種するのではなく、維持培養時のSphereの形質を残しつつ内皮誘導をすることで、前年度と比較するとより良好なtight junction形成の指標であるZO1やポンプ機能の指標であるNa,K-ATPaseの発現を認めることができた。しかしin vivoの正六角形の規則正しい形態を呈している角膜内皮と比較すると 誘導内皮は神経堤細胞により近い形態をしめしており、タイトジャンクションの形成もfocalであった。そこで最終プロトコールの研鑽をおこなう為に、数種類の添加物を添加し、誘導内皮における形態およびタイトジャンクション形成の制御因子について最終探索を行っている。マウス同様のプロトコールで誘導されたヒトSKPs誘導内皮をUssing Chamberによるin vitroでの機能解析を施行するt、今回得られた誘導内皮はヒト角膜内皮細胞セルラインの約3倍もの高いポンプ機能を有していることを見出した。 以上より、本研究においてhSKPsがヒト角膜内皮再生において有望な細胞源であり、十分なポンプ機能を有する細胞に誘導が可能であることが実証された。
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