研究実績の概要 |
研究申請者らは平成24~26年度基盤研究(C)課題番号24592645「運転者、とくに高齢運転者の安全に関わる視覚機能の解明」(研究代表者:根岸一乃)で、高齢運転者の実用視力のパラメータである平均視力、最低視力、視力維持率と有効視野の成績に相関があることを示し、実用視力が運転適性判定に有用であることを報告した。(2014 Annual meeting, The Association for Reseach in Vision and Ophthalmology;ARVOにて一部発表, 2015 Asia ARVOにて発表,英文論文投稿準備中)。一方、研究申請者らは、高齢運転者の運転適性検査の成績と実用視力の関連についても検討し、運転適性検査下位尺度項目の反応速度、のんびり傾向、判断動作の速さ(以上単純反応)、状況対応の速さ(ハンドル操作)は実用視力の反応時間と相関をみとめたことから、実用視力検査の反応時間は運転適性、とくに運動機能を反映することも明らかにした(第68回日本臨床眼科学会総会にて発表,英文論文投稿準備中)。 以上より、本研究で実用視力は安全運転のための重要な視覚機能、認知機能(有効視野)、運動機能(反応時間)の3要素を同時にスクリーニング可能な、運転適性のスクリーニングに優れた検査であることが明らかになった。本研究結果を踏まえ、さらに改良を加えたのち同様の手法で検証ができれば、省時間、省スペースの簡便な運転適性スクリーニング検査機器として汎用できる。今回の研究で高齢運転者に対する運転適性スクリーニング検査が適正化されれば、超高齢社会の交通事故の減少ると考えられ、その社会的意義は大きい。
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