研究課題/領域番号 |
24592648
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
厚東 隆志 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60464814)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 網膜 / 光障害 / 神経変性 |
研究概要 |
網膜色素変性症は、4000人から8000人に1人という高い有病率を占め、さらに古くから失明疾患の上位を占める疾患である。そして、その増悪因子として光暴露による細胞障害の関与が知られている。光暴露による網膜細胞死のメカニズムには酸化ストレスが含まれることは報告されているが、その分子メカニズムには未だ不明の点が多く、この光障害という疾患増悪因子に対処するための予防治療法にも画期的なものは未だ無い。現行では、遮光眼鏡が用いられているが、これは眼内に入る光を抑えるため、基本的に網膜機能の低下した本疾患の患者にとっては、視機能低下を増強することとなり、必ずしも適切な進行予防法とは言えない。そこで、光障害による視細胞死のメカニズムを分子レベルで解析し、遮光以外の方法で行う、光障害に対する網膜神経保護治療法の開発につなげることを目的とした研究を行っている。 そのためにマウスに光照射を行い、網膜内の酸化ストレスやその際に変動する細胞外の液性因子や細胞内シグナル伝達分子等に関して分子レベルで解析している。その結果は、将来的には光障害予防のための創薬につながる可能性があると考え、研究を行っている。その中で、本研究においては、レニン・アンジオテンシン系に着目して解析を開始した。レニン・アンジオテンシン系は、高血圧に関与する因子であるとともに、酸化ストレス・炎症と関連する分子であり、網膜内で様々な病態を形成しうることが知られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスに対する光照射実験の結果は概ね仮説通りであり、研究は予定通り達成中である。
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今後の研究の推進方策 |
光障害モデルマウスにおいては、視細胞死が生じるが、レニン・アンジオテンシン系を抑制した際の網膜視細胞死の減少に関して、そのメカニズムを分子レベルで解析する。そのためには、レニン・アンジオテンシン系を抑制した際の網膜内酸化ストレスのレベルの計測やアポトーシスシグナルの変動等を、組織学的、生化学的、分子生物学的に解析し、抑制なしの場合と比較検討する。酸化ストレスの計測についてはヒドロエチジウム・DCF-DAなどの色素による活性酸素種の検出を行う。すでに申請者らの研究室ではその方法を確立し、発表した論文にもデータを載せた(Sasaki, Ozawa et al. Diabetologia 2010)。アポトーシスに関してはTUNEL染色をはじめとした方法を研究室内で確立してある。そのほかのシグナルについてはイムノブロット法、RT-PCR法等を用いることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定通り実験動物の購入、免疫組織学的・分子生物学的解析に必要な試薬等の購入に充てることとする。
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