研究課題/領域番号 |
24592648
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
厚東 隆志 慶應義塾大学, 医学部, 講師(非常勤) (60464814)
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研究分担者 |
小澤 洋子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90265885)
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キーワード | 網膜 / 光障害 / 神経変性 |
研究概要 |
中年以降に進行し、失明原因の上位を占める網膜色素変性症は、4000人から8000人に1人という高い有病率を占める疾患である。そして、その進行には光暴露による細胞障害が関与しうることが知られている。光暴露による網膜細胞死のメカニズムには酸化ストレスが含まれることは報告されているが、その分子メカニズムには未だ不明の点が多く、この光障害という疾患増悪を予防する治療法にも画期的なものは未だ無い。現行では、遮光眼鏡が用いられているが、これは眼内に入る光を抑えるため、基本的に網膜機能の低下した本疾患の患者にとっては、視機能低下を増強することとなり、必ずしも適切な進行予防法とは言えない。そこで、光障害による視細胞死のメカニズムを分子レベルで解析し、遮光以外の方法で行う、光障害に対する網膜神経保護治療法の開発につなげることを目的とした研究を行っている。 そのためにマウスに光照射を行い、網膜内の酸化ストレスやその際に変動する細胞外の液性因子や細胞内シグナル伝達分子等に関して分子レベルで解析している。その結果は、将来的には光障害予防のための創薬につなげる可能性があると考え、本研究ではレニン・アンジオテンシン系に着目して解析している。レニン・アンジオテンシン系は、高血圧に関与する因子であるとともに、酸化ストレス・炎症を引き起こし網膜内で様々な病態を形成しうることが報告されている。すでに網膜内酸化ストレスが亢進すること、レニン・アンジオテンシン系抑制剤の投与がそれを抑制することは確認した。網膜が光に暴露した際に、レニン・アンジオテンシン系抑制剤の網膜保護効果の解析をするためにアポトーシスシグナルなどを解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光暴露後には網膜内酸化ストレス亢進があり、レニン・アンジオテンシン系の抑制剤により、それが軽減することが確認され、仮説の通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
光障害モデルマウスにおいては、視細胞死を生じるが、レニン・アンジオテンシン系を抑制すると網膜視細胞死の減少することを解剖学的および機能的に解析し、そのメカニズムを分子レベルで解析する。そのためには、レニン・アンジオテンシン系を抑制した際のアポトーシスシグナルの変動等を、組織学的、生化学的、分子生物学的に解析する。すでに申請者らの研究室ではアポトーシスに関してはTUNEL染色をはじめとした方法を確立してある。そのほかのシグナルについてはイムノブロット法、RT-PCR法等を用いることとする。これらに必要なマテリアルの情報も研究室内で確立済みである。機能検査には網膜電図を用いるが、その機器および解析ソフトは入手および習得済みである。
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額の発生は、効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。 実験動物の購入、免疫組織学的・分子生物学的解析に必要な試薬等の購入に充てることとする。
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