研究課題
中年以降に進行し、失明原因の上位を占める網膜色素変性症は、4000人から8000人に1人という高い有病率を占める疾患である。そして、その進行には光暴露による細胞障害が関与しうることが知られている。光暴露による網膜細胞死のメカニズムには酸化ストレスが含まれることは報告されているが、その分子メカニズムには未だ不明の点が多く、この光障害という疾患増悪を予防する治療法にも画期的なものは未だ無い。現行では、遮光眼鏡が用いられているが、これは眼内に入る光を抑えるため、基本的に網膜機能の低下した本疾患の患者にとっては、視機能低下を増強することとなり、必ずしも適切な進行予防法とは言えない。そこで、光障害による視細胞死のメカニズムを分子レベルで解析し、遮光以外の方法で行う、光障害に対する網膜神経保護治療法の開発につなげることを目的とした研究を行った。マウスに光照射を行うと、通常視細胞死が誘導され、網膜の菲薄化と網膜電図により測定される視機能の低下が生じることが知られる。申請者もこれを確認した。そして、その実験系において、アンジオテンシンII 1型受容体阻害剤を投与しておくと、この網膜変性を抑制できることを突き止めた。本阻害剤には数種類あるが、そのいずれを投与しても視機能低下は抑制されたため、この効果は、アンジオテンシンII 1型受容体に関するクラスエフェクトであることが示された。また、アンジオテンシンII 1型受容体阻害剤を投与すると、光照射後の網膜内の酸化ストレスは抑制されており、本阻害剤は、酸化ストレスを抑制することで視細胞死を抑制したといえた。
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