研究課題/領域番号 |
24592649
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
持丸 博史 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90424168)
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研究分担者 |
永井 紀博 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10327611)
小澤 洋子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90265885)
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キーワード | 網膜 / 糖尿病 / 炎症 |
研究概要 |
糖尿病網膜症は常に失明原因の上位を占めており、その予後改善策を開発することは全世界的に意義が大きい。糖尿病網膜症の病態には炎症が大きく関与し、血管病変に加え網膜神経変性を生じることが知られる。糖尿病の病態には、血管内皮増殖因子(Vascular endothelial growth factor; VEGF)やレニン・アンジオテンシン系(Renin-Angiotensin System, RAS)を含む様々な炎症性サイトカインの発現亢進が関与することが知られるが、それだけではなく、抗炎症因子の活性低下も関与する可能性がある。細胞のエネルギー状態により制御されるAMP activated protein kinase (AMPK)は抗腫瘍、抗血管内皮増殖作用に加え、抗炎症作用を持ち、糖尿病網膜症の病態に関与する可能性があるが、そのメカニズムは明らかではない。そこでAMPKの糖尿病網膜症における役割を解析することとした。 そのために申請者らは糖尿病モデルマウスとしてストレプトゾトシン誘導1型モデルマウスを作製し、網膜組織内のAMPKレベルが低下することを見出した。また、糖尿病による炎症に関連して生じる、網膜血管への白血球接着に関して、還流ラベル法で解析した。糖尿病モデルマウスでは白血球接着が亢進していた。そして、AMPK活性化剤であるレスベラトロールを投与した際の病態予防効果を見るとともに、その背景にある分子メカニズムの解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病モデルマウスにおける実験結果はこれまでの知見とも矛盾のない内容であり、レスベラトロールの効果も仮説通りであり、研究は予定通り達成中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本モデルマウスを用いてレスベラトロールの効果の分子メカニズムをさらに解析する。糖尿病モデルマウスでは、網膜内で炎症性サイトカインシグナルの変動があることが知られており、それに対するレスベラトロールの効果を解析する。そのためにはイムノブロット法、ELISA法、RT-PCR法等の手法を用いる。これらの手法に関しては、研究室内ですでに確立されたものがあり、それを用いて研究する。これらの結果により、糖尿病網膜症の病態の一端を解明し、予防治療法の開発につなげられるよう、研究を推進する。
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