研究課題
基盤研究(C)
(1) アトピー緑内障の疾患概念の確立のために多施設におけるレトロスペクティブ解析。アトピー緑内障の病態を明らかにするためi) 年齢及び性別、アトピー疾患の程度とステロイドの使用状況、ii)アトピー白内障、角結膜炎、網膜剥離の合併の有無、iii)緑内障の臨床経過と治療成績を50例で検討した。(順天堂大学、京都府立医科大学、日赤医療センター、北海道大学が参加)この成果は日本臨床眼科学会で報告し、現在投稿中である。(2) アトピー緑内障のTLE手術時に採取した線維柱帯組織、結膜下組織を用いて、免疫組織学的に組織の瘢痕化のマーカー分子の発現と炎症細胞の浸潤程度を評価。リンパ球、好酸球、マクロファージ、マスト細胞がアトピー緑内障由来のサンプルに多数浸潤している知見を得た。(1)の内容とあわせて現在投稿中。(3)アトピー緑内障およびステロイド緑内障の線維柱帯組織を用いた透過電子顕微鏡観察。ステロイド緑内障に特徴的とされる指紋様物質の沈着はアトピー緑内障ではみられず、13nmファイバーといままで眼科領域では報告のない超微構造がアトピー緑内障の線維柱帯組織に確認された。(4) 培養ヒト線維柱帯(TM)細胞に対するTh2サイトカイン添加時の網羅的遺伝子発現解析。正常人および緑内障患者由来の培養TM細胞にIL-13を添加した際の網羅的遺伝子発現変化を検討した。緑内障患者由来の培養TM細胞に20ng/mlのIL-13を24時間反応させた際の遺伝子発現変化をアジレントのDNAチップを用いて解析したところ、炎症細胞誘導に関わるeotaxin-3の産生亢進、組織線維化を防ぐMMP-1遺伝子の発現低下といった結果を得ている。
2: おおむね順調に進展している
当初計画のうち、アトピー緑内障の疾患概念の確立のために多施設におけるレトロスペクティブ解析、アトピー緑内障のTLE手術時に採取した線維柱帯組織、結膜下組織を用いて、免疫組織学的に組織の瘢痕化のマーカー分子の発現と炎症細胞の浸潤程度を評価、アトピー緑内障およびステロイド緑内障の線維柱帯組織を用いた透過電子顕微鏡観察を施行して、現在学術雑誌に成果を投稿中である。
現在、緑内障モデルマウスの確立とアトピー性炎症の影響を精力的に検討している。また、アトピー緑内障治療法改善のための、パイロットスタディを立ち上げる準備中である。
細胞培養関連30万円、マウス費用30万円、分子生物学試薬30万円、成果発表のための旅費20万円を予定している。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
J Immunol
巻: In press ページ: In press
Br J Ophthalmol.
巻: 96 ページ: 1272-1273