研究課題/領域番号 |
24592657
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
堀 裕一 東邦大学, 医学部, 准教授 (70379171)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 眼表面ムチン / バリア機能 / 水濡れ性 / 膜型ムチン |
研究概要 |
眼表面ムチンがオキュラーサーフェスにおいてどのような役割を果たしているかを検討するために、本研究ではバリア機能と水濡れ性に焦点をあてて研究を行っている。バリア機能に関しては、培養ヒト結膜上皮細胞をもちいて、電気抵抗(TER: transepithelial electrical resistance)を計測することでバリア機能を定量することができるが、現在、実験系を構築中である。水濡れ性に関しては、高機能接触角計のシステムを構築することができた。本システムは材料に水滴を滴下する様子を高速度カメラで撮影し、接触角を計測できるようになった。現在、ハードコンタクトレンズおよびソフトコンタクトレンズを用いて接触角を測定することに成功しており、培養細胞シートをもちいての計測を今後行っていく予定である。 また、現在我が国では眼表面ムチンを増加させてドライアイを治療する点眼が発売されている。これらには、ジクアホソルナトリウム点眼とレバミピド点眼があるが、この2種類の点眼をどう使い分けて行くかが今後の課題となっている。昨年、我々は、正常ウサギおよびラットドライアイモデル(眼窩外涙腺摘出モデル)を用いて、ジクアホソルナトリウムがレバミピドに比べて点眼後短時間においての涙液量の増加が多いことを解明し、日本眼薬理学会にて報告した。今後は、これらの点眼が眼表面のバリア機能や水濡れ性とどのようにかかわっているかを解明する予定である。本研究により、これらドライアイ点眼をどのように使い分けて行くかを臨床にフィードバックできると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、培養細胞を用いたin vitroの実験においては、バリア機能の評価のための電気抵抗(TER)を測定するシステムを構築することができた。また、水濡れ性の評価に関しては、接触角計の改良を行い、比較的水濡れ性の良い材料の上でも有意差を出すことができる高感度ハイスピードカメラを用いた測定系のシステムを立ち上げることができた。 また、動物実験モデルに関しても、ラットを用いた眼窩涙腺摘出ドライアイマウスを作製することができ、このモデルをバリア機能、水濡れ性の評価として用いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度に構築した実験系を用いて、実際に眼表面のバリア機能(タイトジャンクションと電気抵抗の関係)と水濡れ性(接触角の変化)を、様々な条件を設定して測定し、評価していきたいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、当初の申請額より50万円程度未使用が発生しているが、これは、培養細胞実験においてバリア機能評価の際に使用する機器購入および、関連試薬等の消耗品購入が年度をまたいで次年度に回ってしまったためであり、25年度に購入予定である。 さらに、次年度はSiRNA等を用いた培養細胞実験を予定しており、新しい評価系の構築および現在の実験系での実験を進めて行く予定である。
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