• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

涙嚢から総涙小管への逆流防止機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24592660
研究種目

基盤研究(C)

研究機関愛知医科大学

研究代表者

柿崎 裕彦  愛知医科大学, 医学部, 教授 (20329783)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード総涙小管
研究概要

今回の研究目的は、涙嚢と総涙小管の関係、特に、涙嚢から総涙小管への逆流防止機構を、解剖学的・生理学的に明らかにすることにある。平成24年度の研究では、まず、眼窩内容を摘出し、その標本を眼瞼正中部で垂直に切断、二分し、その鼻側の標本を使用した。上眼瞼縁から1.5mm上方の部位から瞼縁に平行に組織を切り、以下、0.5mm間隔で下方のスライスを合計6枚作成した。このうちどれかの標本に含まれた総涙小管の涙嚢への開口部を観察した。
現在までは涙嚢に含まれる部分の涙小管についての記載はなかったが、本研究によって、その長さが平均1344.9μm、径が287.5μm(14標本)であることが分かった。涙嚢壁の厚さは自律神経によって制御されているので、総涙小管の開口部の長さや径が自律神経によって変化しうることが推測された。眼科的に問題となるのは、副交感神経刺激状態、または交感神経刺激抑制状態で同部が延長し、また、径が小さくなることである。これは現在頻用されている緑内障点眼薬のαないしはβブロッカーで生じると考えられ、上記緑内障点眼薬で治療中の患者が流涙を訴えた場合、通水検査や涙道内視鏡検査の上、点眼薬の変更、ないしは、チューブ挿入を考慮すべきことが示された。また、総涙小管の涙嚢への開口部は若干膨らんでいるタイプがあり、これはマイエル洞と言われるが、14標本中、2標本がマイエル洞を示し、1つは涙嚢由来、1つは涙小管由来であることが示された。
また、涙嚢鼻腔吻合術術後の患者の総涙小管の涙嚢への開口部を鼻内視鏡を用いて観察したが、瞬目によってその大きさが変化することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

解剖学的研究によって、総涙小管の涙嚢への開口部の平均の長さが1344.9μm、径が287.5μm(14標本)であることが分かった。また、本研究の目的には含めていなかったが、総涙小管の涙嚢への開口部が拡張したマイエル洞が2種類示された。以上より、解剖学的研究においては、目的は達成されたと考える。
しかし、新たにマイエル洞の意義を推察する必要性が生じ、また、実際の患者での緑内障点眼後の総涙小管部の長さ、径の検討はまだ行っていないため、この点においては、研究は達成されていない。

今後の研究の推進方策

マイエル洞の意義を推察:涙嚢鼻腔吻合術術後患者の総涙小管涙嚢開口部を鼻内視鏡を用いてさらに観察し、また、解剖標本の数を増やして検討する。
実際の患者での緑内障点眼後の総涙小管の長さ・径の検討:涙嚢鼻腔吻合術の術前患者に対して、すでに市販されている交感神経刺激点眼薬、副交感神経刺激点眼薬をそれぞれ点眼し、総涙小管の長さ、径に対する点眼薬の影響を調べる。
眼表面厚センサーを用いた研究:涙嚢鼻腔吻合術後患者の総涙小管涙嚢開口部の開口状態を眼表面厚センサーと関連させて観察する。すなわち、閉瞼圧がどのように総涙小管涙嚢開口部の開口状態に影響を与えているかを調べる。

次年度の研究費の使用計画

①解剖学的研究に必要な機材の購入。
②3回程度の、本研究結果の講演
③論文の投稿

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi