研究課題/領域番号 |
24592661
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
螺良 愛郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (90098137)
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研究分担者 |
義澤 克彦 関西医科大学, 医学部, 講師 (70548396)
圦 貴司 関西医科大学, 医学部, 講師 (50330212)
上原 範久 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30368211)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Retinitis pigmentosa / Arachidonic acid / Methylnitrosourea / Rat / Fatty acids / Apoptosis / TUNEL / Morphometry |
研究概要 |
アラキドン酸(AA)食摂取のN-methyl-N-nitrosourea(MNU)誘発網膜変性症に対する影響をみるため雌雄のSprague-Dawley(S-D)ラットにAA量の異なる食餌(対照食,0.008%AA; 低AA食, 0.13%AA; 中等AA食, 0.50AA; 高AA食, 2.01AA)を交配2週間前に開始し、妊娠期(3週間)、授乳期(3週間)と離乳後1週間継続し、生後21日齢の離乳時雄ラットに50mg/kg・MNUを腹腔内投与し、28日齢時に屠殺してAA量を計測し網膜を観察した。血清AA組成は対照群(20.03mol%)、低AA群(22.66mol%)、中等AA群(33.37mol%)、高AA群(40.48mol%)であり(中等ならびに高AA群と対照群は各のp<0.01)、網膜AA組成は対照群(6.61mol%)、低AA群(7.58mol%)、中等AA群(7.36mol%)、高AA群(8.85mol%)であった(高AA群と対照群はp<0.05)。いずれの食餌を摂取した群とも毒性はみられず、体重増加はAA食餌群が軽い傾向ではあったが有意差はみなかった。視細胞比率(視細胞厚/全網膜厚)と網膜傷害率(視細胞層が≦4層の網膜長/全網膜長)をみたところ、対照群(19.4%、39.5%)、低AA群(32.0%, 21.2%)、中等AA群(46.7%, 2.7%)、高AA群(43.6%、6.1%)となり、対照群と中等ならびに高AA群では有意な傷害の軽減をみた。よって、周生期の≧0.5%のAA食餌添加はMNU誘発網膜変性を有意に抑制した。しかし、10週齢の雄S-Dラットに6週間上記のAA含有食を摂餌させ、15週齢時に60mg/kg・MNUを投与し16週齢時に屠殺して網膜を比較したところ、病態抑制はみなかった。よってAAの網膜に対する有効性は作用時期が重要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MNU誘発ラットモデルを用いてアラキドン酸の有用性につき実証した。特筆すべきは周生期には有用であったが成人期では無効であったという時期特異性を実証したことである。この事実を確証する上でもMNU誘発マウスモデルでの証明も必要と考える。
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今後の研究の推進方策 |
MNUはラットの網膜のみならず多臓器に病変を誘発する。網膜以外での病変のアラキドン酸の修飾作用(時期特異性も含め)に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度は効率よく研究が進めたので研究費を繰り越すことができた。アラキドン酸のMNU誘発病変への修飾につき、腎、膵、脳を標的として広範な検討を予定している。
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