研究概要 |
本研究は、1)Rab8およびERM familyの毛様体における正常な相互作用をサル毛様体上皮の培養細胞にて検討し、現在まで手つかずのRab8およびERM familyの、毛様体上皮培養細胞でのシグナル伝達経路を可能な限り明らかにすること、2)各種条件下でのRab8およびERM familyの相互作用の変化を調べ、それが緑内障の重症度に相関しうるか検討することに大別される。 Rab8およびERM familyの相互作用について言及した論文は現在1本だけであり、視細胞においてmoesin, actin, rac1, phosphatidylinositol-4,5-biphosphateがrab8と協調して働きロドプシン輸送を行う、という内容である(Deretic D, et al. Mol Biol Cell, 2004)。本研究テーマは緑内障の病態解明を目指す研究においては最初の試みであると考えられる。現在までにRab8 deficient mouseの眼球切片の作製を完了し、Rab8およびERM familyの共局在についてRab8 deficient mouse、Wild type、毛様体上皮の初代培養細胞について免疫染色を施行し、wild typeと培養細胞においてRab8とERM familyの共局在は確認できた。次に毛様体上皮の初代培養細胞を用いて、培養液に各種薬剤を投与しRab8とERM familyの発現についてウェスタン解析を行ったが、ステロイドを投与した際に濃度依存的にRab8の発現が抑えられるという結果を得た。炭酸脱水酵素阻害剤、β遮断薬の投与ではRab8、ERM familyの発現について変化を認めなかった。 次に同様の薬剤投与にてmRNAの発現についてRT-PCRによる解析を行うため、準備を進めている。
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