研究課題/領域番号 |
24592666
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
石川 誠 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10212854)
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研究分担者 |
吉富 健志 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60191623)
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キーワード | 緑内障 / 興奮毒性 / グルタミン酸 / 眼圧 / グルタミン酸輸送体 / グルタミン酸代謝 |
研究概要 |
昨年度までは、「グルタミン酸輸送体(GT)を賦活化すると、網膜神経節細胞を眼圧上昇による傷害から防御できる」との仮説を検証するため、まず、眼球分離標本を作成し、静水圧による加圧負荷を行った。そして、加圧を負荷することで誘導される網膜神経節細胞の軸索傷害が、グルタミン酸輸送体(GLAST)とグルタミン合成酵素(GS)の発現低下によってもたらされることを明らかにした。さらに、加圧を負荷することで誘導される網膜神経節細胞の軸索傷害が、グルタミン酸輸送体を賦活化するとされる薬物(17β-estradiol及びtamoxifen)を投与することによって、防御可能であることを明らかにした。 本年度は、上強膜静脈を焼灼してin vivo緑内障ラットを作成し、ラット分離加圧標本において神経保護効果を示した17β-estradiol及びtamoxifenを投与し、加圧傷害に対する有効性を検討した。 in vivo緑内障ラットにおける加圧傷害と薬物による神経保護効果は、網膜神経節細胞数を、光顕・電顕的にカウントすることで検討した。免疫組織学的に、神経節細胞の特異的マーカーであるThy-1抗体の結合性の変化についても検討した。さらに、グルタミン酸輸送体(GLAST) とグルタミン酸代謝酵素(GS)の加圧による発現抑制と、tamoxifen投与による回復について、遺伝子レベル、タンパク質レベルで調査した。 その結果、tamoxifenは、ラット分離加圧標本をもちいたex vivo実験と同様に、in vivo緑内障ラットにおいても、GLASTとGSを賦活化することによって加圧傷害を防御する可能性があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書の工程に基づいて、実験が進行したため。
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今後の研究の推進方策 |
我々のこれまでの実験の結果から、加圧傷害に対して神経保護効果を示した薬物は、いずれもステロイド系薬物である。今後は、ステロイド系薬物に注目して、ニューロステロイドと緑内障の関係に着目して、研究を進めて行く。 ニューロステロイドは神経伝達物質群であり,中枢神経系では、神経保護的に作用することがしられている。網膜においても、ニューロステロイドの存在が確認されているが、生理的役割については明らかにされていない。緑内障におけるニューロステロイドの役割についても、神経障害的に作用するのか、神経保護的に作用するのか、不明である。 我々は、ニューロステロイドの加圧傷害における役割について形態学的、生化学的に明らかにし、神経保護治療ターゲットとしての可能性を検証する。
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