研究課題/領域番号 |
24592667
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
菊池 孝信 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (50177797)
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研究分担者 |
太田 浩一 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70262730)
宮原 照良 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (80362135)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌関連網膜症 / 自己免疫性網膜症 / プロテオーム解析 |
研究実績の概要 |
本研究計画の目的は、自己免疫網膜症患者血清が認識する網膜特異抗原タンパク質をプロテオーム解析法により網羅的に同定し、その発症機構を分子レベルで解明することにある。 本年度は、ヒト抗原遺伝子のcDNAクローニングと大腸菌発現組換えタンパク質による抗原タンパクの同定を行った。プロテオーム解析により推定された抗原タンパク質について、ヒト網膜由来のRNAから調整された市販のcDNAを用い、抗原タンパクの全翻訳領域を含むcDNA断片をPCR法により増幅し、大腸菌発現ベクターに挿入し、大腸菌で大量産生させた。この組換え融合タンパクをアフィニティカラムを用いて精製し、90%以上の純度の組換えタンパク標品をウエスタンブロットの試料とした。11個の抗原タンパクをクローニングした。現在までに75例の患者血清についてこれらの抗原タンパクとの免疫交叉性を検討した。大腸菌由来の融合タンパク部分と強い免疫交叉性を示す10例の患者血清を除く65例について検討した。8個の抗原タンパクが複数の患者血清により認識された。自己抗原として既知のタンパクとしては、α-enolase(30例、陽性率47%)、γ-enorase(5例、8%)、ricoverin(4例、6%)、杆体細胞で発現するα-transducin(2例、3%)、錐体細胞で発現するα-transducin(7例、11%)であった。α-transducinについて2種類の遺伝子産物を同時に検討したのは、今回が始めての試みである。また、網膜内層の細胞で主に発現している遺伝子A(20例、31%)、遺伝子B(11例、17%)、遺伝子C(8例、12%)の3種類の新しい抗原タンパクを見出した。これらの遺伝子はricoverinと関連する遺伝子群であり、しかも陽性率がricoverinより高いことから、自己免疫網膜症のバイオマーカーとしての有用性が期待される。
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