研究課題/領域番号 |
24592670
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
瓶井 資弘 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40281125)
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研究分担者 |
鈴木 三保子 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (40611166)
松村 永和 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (40611174)
辻川 元一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70419472)
小比賀 聡 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80243252)
五味 文 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80335364)
坂口 裕和 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80379172)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 脈絡膜新生血管 / MCP-1 / マクロファージ / 酸化ストレス / 核酸医薬 |
研究概要 |
本研究は、難治性眼疾患である加齢黄斑変性に対し、発症・進展メカニズム解明に基づいた根治療法と1次予防法を確立することを長期目標としている。本年度は、まずMCP-1阻害剤の脈絡膜新生血管(CNV)対する抑制効果とメカニズムの解析をおこなった。マウスを用い、レーザーCNVモデルを作成した。レーザー照射直後に選択的MCP-1阻害剤INCB3344をマウス硝子体腔に注入した(Day 0)。Day 3の時点で、マクロファージの浸潤を免疫染色とFACSで評価し、VEGFの発現を定量した。その結果、薬剤投与によりレーザー照射部位へのマクロファージ浸潤は有意に抑えられ、VEGFは組織中の蛋白量とmRNA発現が有意に抑制されていた。Day 14にCNV面積を評価したところ、薬剤投与眼で対象眼に比べ42%抑制されていた。 次に、既に完成したCNVに対する退縮効果について検討した。低照度長期間青色光照射によりCNVを誘導したマウスの硝子体内に薬剤を投与し、2週間後に蛍光眼底造影を用いてCNVサイズを投与前と比較した。その結果、CNVのサイズは、対照群では変化なかった(2%)が、薬剤投与群では有意な縮小(70%)が認められた。 MCP-1阻害核酸医薬の開発は、スクリーニングに着手した。ヒトおよびマウスMCP-1遺伝子に特異的に結合しうる4種類のアンチセンスオリゴを作成し、ヒト網膜色素上皮細胞株、マウスマクロファージ細胞株に導入を試みたが、効率が悪く、現在導入方法の変更や細胞株の交換をおこない、解決策を練っている。 短波長光選択的遮光による網膜光ストレス抑制効果の検討に関しては、網膜光ストレスの適正条件検討をおこなった。その結果、連続照射では、低照度であっても3ヶ月で網膜障害を生じたが、1日もしくは2日おきの照射では、直接の網膜障害を引き起こすことなく、酸化ストレス誘導、マクロファージ集積誘導が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アンチセンスオリゴの導入効率が悪く、現在導入方法の変更や細胞株の交換をおこない、解決策を練っているため。 また、青色光ストレスの適正条件検討に予想以上に時間がかかったため、白色光の実験が準備段階である。
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今後の研究の推進方策 |
MCP-1阻害剤の安全性と薬物動態の検討としては、臨床応用に向け、INCB3344の眼毒性・網膜毒性を検討する。前年度に決定した至適投与量のINCB3344とその10~1000倍量の薬剤を家兎硝子体内に投与し、眼底検査、眼底写真、蛍光眼底造影、網膜電図、組織学的検討にて、網膜への影響を評価し、安全閾値と毒性閾値を決定する。臨床応用に用いる予定範囲の投与量で、硝子体内投与した場合の薬物動態、半減期を検討する。白色家兎を用い、INCB3344を硝子体内に投与後、ELISA法にて硝子体内INCB3344濃度を経時的に測定する。 MCP-1阻害核酸医薬の開発は、前年度の範囲で遅れている、MCP-1アンチセンスオリゴの導入効率を上げ、その導入効率を検証する。そして、MCP-1の発現が実際に低下するかどうかを、酸化リン脂質負荷後にリアルタイムPCR、ELISAにて評価する。そして、効果をレーザー誘導性脈絡膜新生血管モデルマウス、および、我々が開発した長期青色光照射モデルマウスで評価する。また、点眼投与により眼表面から網膜下に到達できるような薬物デザインを検討する。 短波長光選択的カットの検討に関しては、白色LEDを用い、特定の波長の抑制が酸化ストレス・炎症反応が抑制できるか、加齢黄斑変性初期病変を抑制ができるか、ひいては脈絡膜新生血管発症を抑制できるかを、低照度長期光照射マウスモデルを応用して検討する。 加齢黄斑変性ハイリスク因子の検討は、前年度に引き続き、血清検体を採取する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウス購入・飼育費用:600000円、消耗品:200000円、学会発表費用・旅費:400000円、英文校閲費・投稿料:200000円、その他:60000円。
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