研究課題/領域番号 |
24592673
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江内田 寛 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00363333)
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研究分担者 |
石橋 達朗 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30150428)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 開発研究 / 観察系 / ブリリアントブルーG / 硝子体手術 / 薬理作用 / 神経保護 / 抗炎症 / 安全性 |
研究概要 |
研究課題は我々が開発した手術補助剤であるBBGを基盤技術にしたあたらしい手術用観察系と薬理作用の探求について、24年度については下記の目的や計画で研究を行うというものであった。硝子体手術におけるさらなる安全性確保の観点から、低濃度BBG染色による内境界膜の視認性改善と光障害抑制を目的とした、観察光の偏光や波長特性を利用した新しい硝子体手術用の観察系の開発と臨床応用を以下の細目にて行う。 1.あたらしい観察系の開発 1-a)「光学系の基盤となるフィルターの選択とシステムの光学特性および安全性の検討」につては観察に効果のあると考えられる偏光フィルターを含む各種カラーフィルターの選択を行い光学特性の検討を行った。1-b)「システムの光学設計とプロト機作成および豚眼を用いた手術シミュレーションと画像解析」については前述の各種フィルターを搭載した実験用のプロト器を開発し、それを用い実際の豚眼で手術を行い、目的に応じたフィルターの選択と光学特性について視認性変化の検討を行った、尚画像の解析はCIELAB法を用いて実施した。1-c)「医療機器および倫理委員会申請・承認後の臨床研究の実施」に関しては上記の結果を元に、知財(2011年出願済)、医療機器申請および倫理委員会申請を行い、承認後臨床研究を実施した。したがって上記全項目についてすべて計画通り実施また将来の具体的な臨床応用を念頭にした準備も行った。 2.BBGの薬理作用の探究 2-a)培養細胞を用いたIn vitro系での検討、2-b)モデル動物を用いたIn vivo系での検討 上記2項目についても培養細胞や一部臨床検体、さらに加齢黄斑変性のモデル動物を使用し、予定通り研究を実施し学術論文に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記のあたらしい観察系の開発について申請段階では、24年度以降の計画として、前年までの研究成果をもとに、臨床用試作機を企業との産学連携で完成させ、医療機器としての認可(Class I)の申請・承認を得た後、臨床試験のための倫理委員会に申請・承認を得る。実際の手術症例について、あらたしい観察システムの有効性の評価を行うと同時に問題点の抽出を行い、将来的な臨床応用への可能性を検討するという予定であったが、全ての項目について24年度以内におおむね達成された。 また平行して開発を行ってきた極小切開硝子体手術時に使用する内境界膜剥離用鉗子がディスポーザブル製品として上市された。
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今後の研究の推進方策 |
1.あたらしい観察系の開発 すでに開発研究の出口を見据えた開発器機の知財化、器機の作成および承認、さらに臨床評価の基盤となる臨床研究までをある程度完遂しており、今後はその結果を元に全国複数の施設での評価と改良を実施し、研究成果の具体的な実用化を目指す。 2.BBGの薬理作用の探究 現在BBG薬剤については内境界膜染色のための手術補助剤医師主導治験の準備中(PMDAとの対面助言終了済、実施予定施設IRB承認済)であり、承認後の本薬剤の将来的な適応拡大に向けた基礎的な研究を継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
開発中の医療機器については、研究成果の具体的な実用化を目指し改良を進める。またBBGの薬理作用については神経保護作用に加え、抗炎症作用についても検討を継続する。
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