研究課題/領域番号 |
24592675
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
川崎 諭 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60347458)
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研究分担者 |
上野 盛夫 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40426531)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 角膜上皮細胞 / 癌遺伝子 / 幹細胞 / 不死化 |
研究概要 |
膠状滴状角膜ジストロフィは極めて難治であり、視機能の予後も低いために根本的な治療法の開発が必要である。遺伝子治療がこの疾患には適応可能と考えられ、これまでにいくつかの実験を行った結果、治療の可能性は十分にあると考えている。しかしながら遺伝子治療の効率の低さの問題から、培養環境で遺伝子治療を行い、患者に移植するというアプローチが最も見込みがあると考えている。しかし培養環境では角膜上皮細胞の幹細胞の維持が困難であるという問題があり、本研究ではそこに焦点を当てた。今回、膠状滴状角膜ジストロフィ由来の角膜および結膜上皮細胞、および正常者由来の角膜および結膜上皮細胞にSV40 large T 抗原遺伝子とhTERT遺伝子をレンチウイルスで遺伝子導入して、継代培養を続けた。その結果、100PDを越えてこれらの細胞は増殖能を維持した。また継代が進んでもコロニー形成能は変化していなかった。100PD経過した時点では最初の細胞数の約1.3 x 1030倍の細胞数となるので、もし培養環境で幹細胞が維持されないのならば、100PDまでに至るまでに増殖が停止しているはずであり、これら2つの遺伝子の導入によって幹細胞の維持がなされていると考えられる。ただ幹細胞のレベルで自己メンテナンスされているのか、あるいはもう少し進んだ段階、すなわちTransient amplifying cell (TA cell)の段階で自己メンテナンスされているのかは判断できないので、14-3-3σなどの分化マーカーをもちいて検討する必要はある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のSV40 large T抗原遺伝子とhTERT遺伝子による不死化操作後の幹細胞維持の検討は予予定通りに進行した。その他、ウイルス由来の癌遺伝子(HPV E6/E7)や内因性癌遺伝子(cmyc, klf4, Oct4, CDK4)のクローニングは終了している。
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今後の研究の推進方策 |
培養環境はin vivoの環境とは大きく異なり、幹細胞のもつ大きな特徴である低酸素環境への適応やquiescenceが損なわれる。いくつかの癌遺伝子の遺伝子導入によって低酸素環境やquiescenceというものを意識しなくてもある程度の幹細胞維持が可能であると今年度の研究から考えられるが、今後は低酸素環境やquiescenceというものをある程度意識した幹細胞維持の方法を考える。無論、ex vivoにてエクスパンジョンすることが再生医療においてはもっとも重要な課題の一つであるので、cell cycleのquiescenceを完全に行うことはできないが、ある程度組み合わせることで幹細胞の比率を高めることが可能かも知れない。また実際の臨床に利用可能なex vivoの幹細胞エクスパンジョン法としてRNAウイルスであるセンダイウイルスの利用を考えている。現在温度応答性のセンダイウイルスが実用化されており、癌遺伝子を使用しても取り除くことが可能と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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