研究課題
低分子による細胞増殖促進を目指して、スクリーニング用の細胞の構築を行った。ベースとしたのは骨肉腫患者由来の細胞株で、内因性のp53とpRbの発現を欠損している。この細胞にテトラサイクリン誘導下にpRbタンパクが発現するようにレンチウイルスを作成して感染させた。テトラサイクリンによりpRbタンパクを誘導するとこの細胞は細胞増殖が抑制され、同時に細胞面積が増大した。またSA-beta Galにて染色すると青色に染色され、テトラサイクリンによりこの細胞において老化が誘導されたことがわかった。この細胞では内因性のp16が発現していることが既報で報告されており、恐らくp53とpRbが欠損しているために無秩序な増殖を来しているため、p16をはじめとするサイクリン依存性キナーゼ阻害剤(p15INK4b、p18INK4c、p19INK4dやp27Kipなど)が高発現しているものと推察される。この細胞において、テトラサイクリンとともに低分子化合物を添加して細胞増殖の抑制が起こらない場合、pRb-E2F1の結合阻害を起こしていると推察され、この原理によって低分子化合物のスクリーニングを行う。スクリーニングにあたり、まず構築した細胞を2週間薬剤選択し、その後に50個のシングルセル由来のクローンを得た。ハイコンテンツイメージング機器(Operetta)を用いて、テトラサイクリン非添加(0%コントロール)とテトラサイクリン添加(100%コントロール)において細胞面積と細胞数の2つの尺度において、得られた50個のクローンについてZ’値、S/B値、CV値を計測したところ、細胞面積、細胞数のどちらの指標を用いても、7つのクローンではZ’>0.6という良好な値を得ることができた。特に良いクローンでは細胞面積でZ’値0.79、S/B値6.3を、細胞数でZ’値0.81、S/B値8.2という良好な結果を得た。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
Nature
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