研究課題
本研究課題ではインフリキシマブ治療前後の末梢血単核球のmicroRNAに関する網羅的な遺伝子発現解析を施行し、miRNAの変動、miRNAとぶどう膜炎活動性との関連について検討を行った。ベーチェット病ぶどう膜網膜炎患者(4例)を対象にインフリキシマブ導入前後でmRNAおよびmicroRNAの発現について末梢血単核球を用いてマイクロアレイによる網羅的な解析を行った。4例において発現の上昇、低下のみられたmiRNAを抽出し、それらのmiRNAの標的となる遺伝子発現(mRNA)をマイクロアレイの手法を用いて解析した。インフリキシマブ導入後の眼発作抑制効果について検討したところ、4例中3例ではインフリキシマブ治療開始後2年間で眼発作を認めなかったが、残りの1例はインフリキシマブ治療開始2年目以降に眼炎症発作がみられた。MiRNAの網羅的遺伝子発現の検討では、4例に共通して発現の上昇、または低下したmiRNAは認めなかったものの、4例中3例でmiRNA144の発現の低下がみられた。一方、4例中1例(眼発作のみられた症例)でmiRNA144の発現がインフリキシマブ導入前に比べて約2倍の上昇を示した。また眼発作のみられた症例においてmiRNA-144の標的遺伝子の一つであるphosphatase and tensin homolog (PTEN)の発現低下がみられた。最近、制御性T細胞(CD4+Foxp3+ regulatory T cells) の機能保持にPTENの発現が必須であることが報告されている(Nature Immunology, 2015)。少数例での検討であるが、通常の眼所見に加えて末梢血単核球中のmiRNA144とPTENがベーチェット病ぶどう膜網膜炎におけるインフリキシマブの有効性を評価するバイオマーカーとして有用である可能性が考えられた。
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