現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Fasudilのリポソームへの内封を上述のリモートローディング法により行ったところ、約70%の内封率が得られた。本研究を始めた当初は、リポソーム外水相の硫酸アンモニウム水溶液を除去の操作は、15分間の超遠心(453,000 × g)を一回だけで実施していた。しかし、この方法では、Fasudilの内封率が約20-30%とかなり低かった。Fasudilのリモートローディング法による内封方法の駆動力には、内水相と外水相との間の硫酸アンモニウムの濃度勾配が重要であることがこれまでに報告されている(Gupta, V. et al. J. Control. Release, 2013, Ishida, T. et al. Int. J. Pharm, 2002)。そこで、1回の超遠心では、リポソーム外水相に存在する硫酸アンモニウム水溶液の除去が不十分であったと考え、上記プロトコールにしたがって超遠心、再懸濁の操作を3回繰り返し、硫酸アンモニウム水溶液の除去を徹底した。その結果、Fasudilの内封率が約70%と大幅に改善した(70.4 ± 13.6, n=3)。リポソームへのFasudilの内封には、外水相の硫酸アンモニウムの完全な除去が重要であることが判明し、最終的にFasudil内封率が約70%のAPRPG修飾Fasudil内封リポソームの調製に成功した。
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