研究課題/領域番号 |
24592683
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
北岡 康史 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10367352)
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キーワード | 緑内障 / 軸索保護 / 視神経 / オートファジー / γセクレターゼ / アルツハイマー病 / TNF |
研究概要 |
ラット高眼圧モデルにおいて、視神経をサンプルにimmuno blottingを施行。オートファジーのマーカーである、LC3-IIが高眼圧後1週間で上昇していることを見出した。高眼圧モデルの視神経は3週間後には軸索変性をおこしているが、オートファジー誘導体であるrapamycinを硝子体注射することで有意に軸索数減少を抑制した。逆にオートファジー阻害薬である3-methyladenineにより、高眼圧による軸索数減少は悪化した。なお、rapamycinでも3-methyladenineでも高眼圧は維持されており、眼圧は高眼圧単独群と差を認めていない。このことは、高眼圧による視神経障害においては、オートファジーの活性は軸索保護に向かうことを示している。さらに、p62蛋白の発現は、高眼圧の視神経において上昇しており、rapamycinによりその上昇は抑制された。高眼圧における視神経でのLC3-IIの上昇はrapamycinによりさらに上昇した。これらのことは、rapamycinの軸索保護作用に、p62の抑制とLC3-IIのさらなる上昇が関与していることを示唆している。過去の報告ではp62は蓄積すると神経変性に関与するとの報告があり、我々はRGC-5 cellを用いてその局在を調べた。Starvation下でp62はミトコンドリアと共存していることが確認できた。電子顕微鏡所見では高眼圧の視神経軸索内に異常なミトコンドリアを多数確認している。現在p62を単独で抑制した場合軸索保護に向かうのかどうか検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
rapamycinでTNFによるリン酸化PS1の上昇を抑制できた所見を得ている。rapamycinでの軸索保護作用と、3-methyladenineでの軸索変性を悪化させる作用を確認し、さらに高眼圧軸索障害において軸索内でのautophagic vacuolesの所見を報告できている(Kitaoka etal., Cell Death Dis)。
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今後の研究の推進方策 |
TNF軸索障害モデルや老化促進マウスをもちいて軸索変性の機序を詳細に検討する。P62やLC3-IIがこれらのモデルでも変化するか検討する。そしてそれらの因子がγ-セクレターゼ阻害剤で調節を受けるか明らかにする。siRNAを用いてp62抑制単独で、軸索保護に向かうか検討する。これらによりオートファジー調節により軸索保護治療につながるか明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
一貫して計画は進行しているが、試薬や抗体の消費のタイミングで年度間で購入金額に多少バラつきが生じる。動物も、たとえば、いったん切片にするとしばらく新しい動物から組織切片をつくらなくても免疫染色の研究ができ、使用金額は時期により異なってくる。高額なsiRNAなどの使用が続くとその時期は購入金額がかさむ。今回の次年度への使用予定額はこのようなバラつきの範囲内のものであり、予定通り、次年度の計画実行のために適切に使用されるべきものである。 現在p62のsiRNAを用いて、視神経組織やwesternのサンプル作りをしており、抗体やsiRNA、また障害モデルのためのTNFを継続して購入予定である。そのための動物も新たに必要とする。westernやPCR用の試薬も消費間近であり、一通り再度購入予定である。当初の予定通り、消耗品、試薬、動物購入のみで予算は使用される予定であり、順調に研究成果を発表できる予定である。
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